第19話

「いらっしゃいませ」

暖希は劇団近くのコンビニでバイトしていた。

時間は昼の12時から9時まで。劇団の稽古は午前中だ。

暖希は映画やドラマの端役として出演した事はあるが、まだ名前のある役に付いた事がなかった。

だからオーディションを受けまくっている。


夏が来て、岸田は予備校の夏期講習を受けていた。

この夏の成績で来年の受験が決まる。

岸田は毎日勉強に明け暮れていた。

「まだやっていたのかい?台所に夜食があるからおいで」

大家の後に付いて岸田は階段を降りて来た。

待っていたのは大好物の天ぷらうどんである。

「頂きます」

岸田はうどんを食べ始めた。

「やっぱ、お母さんのうどん最高!」

大家は椅子に座って岸田の様子を見ている。

「お母さん、俺、今度こそ合格します」

「その域だよ」

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