第15話

「誰か心結に英語を教えてくれないかい?」

大家が全員で夕食を食べていた時に言った。

「お母さん、そんなのいいよ」

「何がいいの。30点じゃダメでしょ」

「お母さんったら!」

心結は恥ずかしくて真っ赤になる。

「只とは言わないよ。家庭教師代1万円出すから」

「俺、やります」

名乗りを上げたのは暖希だった。

「俺、高校の時英検2級取ってるんで」

「それで十分。じゃあ、週に1回。2時間でお願いするわ」

「お母さん、それ安いですよ」

長谷部が言った。

「あ、俺、それでいいです。プロって訳じゃないので」

暖希が頰を掻きながら言った。

「日曜日の午前中は如何?」

「えー!私、友達と約束が」

心結は思わず反論する。

「遊ぶのは午後からにすればいいじゃない」

勝手に家庭教師の方向で話が進んでいるが、まだ心結は受けるとは言っていない。

日曜日の9時から11時。

場所は心結の部屋で。

だが既に話は本人を前に纏まってしまった。

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