第10話

いよいよオーディションの日が来た。

映画の主人公の兄役をオーディションで決める事になっていて、主人公は進藤郁也に決まっている。

18歳から22歳までの年齢制限があり、

第一次審査は書類選考。此処で殆どの人は落ちた。暖希は一次審査に通った。そしていよいよ二次審査にやって来たのである。

残っているのは20名だった。

暖希は19番だった。

5人ずつ4組に別れて、横一列に並び台詞を言って行く。

いよいよ16番から20番迄の人が並んだ。

1人ずつ台詞を言って行った。

「19番は残って。後の人はいいです」

こうして暖希は最終審査の5人に残ったのである。


「それはおめでとう!」

大家は我が事のように喜んだ。

「いよいよね」

「はい」


……だが暖希は最終審査を通過する事は出来なかった。


「こう言う時は、普段通りにしておくのが一番よ。次のオーディションもあるんだし」

大家は全員に言った。

次は小説家の小説の締切日が迫っていた。

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