心結は週に2回、家庭科部に所属している。

今の状況では料理のレパートリーを増やす必要があるし、お菓子作りなども楽しめるからだ。

それ以外の日は10分だけ野球部の練習を見る。

智樹がバットを振る姿を見るだけで、胸がホッコリ暖かくなる。

北見君、頑張って……

心結はそう思いつつグランドから離れた。

今、佐倉がそこに居た。

智樹はグランドの周りを取り囲んでいる女子達を見ていた。

「ねえねえ、智君、今、こっちを見てるよ。私を見てるのかなあ…… 」

「何言ってるのよ。私に決まってるじゃないの。智樹ー！」

女の子達は次々に手を振る。

だが智樹はそのまま練習に戻った。

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