第2話

「おはよう。心結」

心結が春の風を感じながら歩いていると、後ろから友人の荒木奈緒が声を掛けて来た。

「おはよう。奈緒ー」

「あーあ、今日も朝から疲れた顔して。イケメンに囲まれてるって言うのに」

「あのねー。奈緒。毎日、朝と夜はあの4人の顔を見ているわけよ。陰気臭いのもいれば、能天気もいる。はっきり言ってマトモなのがいないんだから」

「確かに浪人生に、小説家志望に、俳優の卵、根暗なサラリーマン。うーんちょっと……」

「でしょー。お母さんは私が年頃の娘だって事忘れてるんじゃないの⁈」

そう言いながら、2人は正門から校舎へと入って行く。

学校へ来るとホッとする。

明らかに空気が違うからだ。

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