実は私、紀貫之の妹なんです。
山鹿るり
女の声
「
突然、聞こえて来た
「外には出ないように」
先ほど、
友則が、牛車を見に行こうと、ふらふらと、
簀の子(すのこ)
建物の屋根下の外廊下
御簾(みす)
外に面した所に下ろした簾(すだれ)
牛車(ぎっしゃ)
牛が引く乗り物
友則は、恥も知らず、
外に出られる
冠(こうぶり)
帽子
平安時代、男性が頭を
髻(もとどり)
平安時代、男性が髪を下ろしたままでいることもない。
生絹(すずし)
薄くて軽い絹
単衣(ひとえ)
下袴(したばかま)
どちらも、下着
童(わらわ)
子ども
友則は
沓脱ぎ(くつぬぎ)
靴を置き、脱ぎ履きする場所
靴(かのくつ)
黒い革製で、留め金の付いた靴
「
声を上げる友則の
友則は、自身で
吾(あ)
ぼく
ようやく、
望行も、貫之も、冠に
縄纓(なわえい)
喪の装束
青鈍(あおにび)
青みのある薄墨色
喪の装束
直衣(のうし)
普段着
指貫(さしぬき)
袴(はかま)。
「止まってください」
貫之が、父・望行に
貫之の
「おいでなさい」
しかし、すぐさま
「止まりなさい」
望行の
「おいでなさい」
また、すぐさま幽かな女の声が言って、友則の肌足が歩み出す。
幽かな女の声が聞こえていない貫之も、望行も、友則の肌足を動かしている言の葉の
才(ざえ)
異能
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