第10話 交錯する運命③

場所: 孤島・ナディアの船近くの海岸


ナディアたちは嵐で傷んだ船の修理を進めているが、遠くの水平線に不穏な動きが見える。教会の船がゆっくりと孤島に近づいていた。


【情景描写】

雲が低く垂れ込めた空の下、海が静かに波を打っている。遠くには教会の船団らしき姿が小さく浮かび上がる。その威圧感に船員たちは不安そうな表情を見せる。


船員A

(目を凝らしながら)

「あれは…教会の船だ!どうしてここまで追ってきたんだ?」


ナディア

(舵の近くで叫ぶように)

「落ち着け。まだ距離はある。船を動かせる状態にしなければ、逃げることもできない!」


【対話: 緊張感の高まり】

ナディアは急いで甲板を確認しながら、船員たちに指示を出す。一方で、教会の船が近づくスピードに焦りを感じている。


船員B

「こんな状態の船で逃げられるのか?相手は軍船だぞ!」


ナディア

(苛立ちを隠しながら)

「だから今急いでるんだ!文句を言う暇があったら帆を張れ!」


その時、アナスタシアが森の奥から駆け戻ってくる。彼女は息を切らせながら、何かを抱えている。


【アナスタシアの帰還】

アナスタシアが近づくと、ナディアが彼女に気づいて声をかける。


ナディア

「どこに行ってたんだ!状況は最悪だぞ!」


アナスタシア

(星図と男から託された観測データを見せながら)

「島で隠れている学者に会いました。このデータがあれば地動説の証明がもっと強固になります!」


ナディア

(目を見開いて)

「学者だと?こんな島にか?」


アナスタシア

「彼も教会に追われて隠れているんです。でも、今はその話をしている時間がありません!」

(遠くの船を指さして)

「あれは教会の船ですね?」


ナディア

「その通りだ。私たちがここにいるのがバレたみたいだ。」


【作戦会議】

ナディアとアナスタシアは急いで対策を練る。ナディアは一か八かの賭けを提案する。


ナディア

「船は修理中で今すぐには動けない。でも、あの森を抜けた向こうに小さな入り江がある。そこに隠れられれば、教会の船からは見えないはずだ。」


アナスタシア

(不安げに)

「でも、船を動かす途中で見つかる危険もあります。」


ナディア

「危険を冒さなきゃ、ここで全員捕まるだけだ。あのデータもお前の星図も教会に奪われるぞ。」


アナスタシア

(強く頷きながら)

「わかりました。船を隠すために全力を尽くしましょう。」


【行動開始】

ナディアの指揮のもと、船員たちは船を森の向こうにある入り江へ動かそうと準備を始める。しかし、教会の船団も徐々に孤島に近づいている。


船員A

「早くしないと奴らがここに上陸するぞ!」


ナディア

(冷静に舵を操作しながら)

「静かにやれ。騒ぎを起こせば、こちらの位置がすぐにバレる。」


アナスタシア

(船の動きを見守りながらモノローグ)

「この船に乗っている全員が私を信じてくれている。私も、父の研究を守り抜くために全力を尽くす…。」


【シーン終わり】

船はゆっくりと森を抜けた入り江に向かい始める。一方で、教会の船団は島の海岸に近づき、上陸準備を始めている様子が見える。


ナディア(モノローグ)

「時間との勝負だ。星々が私たちに味方するなら、この危機を乗り越えられるかもしれない…。」


シーンは教会の船団と、入り江へ向かうナディアの船が対峙する構図で幕を閉じる。


次の展開


教会の船団は島に上陸し、アナスタシアたちの捜索を始める。一方、入り江に隠れた船では、新たな協力者が持つ観測データが彼らの次の計画を導く手がかりとなる。しかし、その計画を実行するにはさらなる危険を冒さねばならなかった――。

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