第5話 星を繋ぐ者たち④
シーン4: 『新たな協力者』
場所: フィレンツェ港・船着場の酒場
早朝のフィレンツェ港。船員や商人たちが集まる酒場の片隅で、ナディアがテーブルに肘をつきながらワインを飲んでいる。彼女は周囲を警戒するように目を配っている。
【情景描写】
港町特有の活気ある雰囲気が漂う酒場。窓の外からは波の音や遠くで船のロープが軋む音が聞こえる。まだ明けきらぬ空には、かすかに星々が残っている。
ナディア(モノローグ)
「今夜も星はあの光を放っていた。地平線の向こうにどんな真実があるのか、いつかこの目で確かめてみたいものだ。」
【会話】
ナディアが独り静かに星について思いを馳せているところに、アナスタシアが現れる。彼女は泥だらけの服を着たまま、息を切らしている。
アナスタシア
「ナディア…あなたがナディアさんですね?」
ナディア
(振り向いてアナスタシアを見上げる)
「そうだが、あんたは誰だい?この時間に女が港で何をしている?」
アナスタシア
(椅子に座りながら)
「私の名前は…アナスタシア。ルカ・ファルコーネの紹介で来ました。」
(布に包んだ星図をそっとテーブルに置く)
「私たちの研究に協力してほしいのです。」
【キャラクターの対話と衝突】
ナディアは興味深そうに星図を広げるが、その精巧な作りに驚く。
ナディア
「…これはただの星図じゃない。あんた、一体何者だ?教会に知られたら即刻死刑だぞ。」
アナスタシア
「わかっています。でも、地球が動いている証明をするには、航海士であるあなたの知識が必要なんです。」
ナディア
(口元を歪めて笑う)
「面白い。船の上じゃ星が命だ。でも、星を頼りにこんな危険な研究に首を突っ込むなんて酔狂だね。」
【信頼を築くシーン】
アナスタシアは星図の一部を指し示し、理論を説明し始める。ナディアは真剣な表情で聞き入り、その理論に興味を抱く。
アナスタシア
「これが私たちの計算による惑星の軌道です。星の動きに合わせて航海したあなたなら、この理論が正しいと感じられるはずです。」
ナディア
「確かに、この星図はただの理論じゃない。私が航海中に見た星座の位置と一致する部分がある。でも…こんなことを続けたら、教会に睨まれるぞ。」
アナスタシア
「それでも、父の遺志を継ぐために進むしかないんです。」
ナディアはしばらく考えた後、酒を一口飲み干して立ち上がる。
ナディア
「いいだろう。私は星を信じる。だが、一つ忠告だ――この道を選んだら、簡単には引き返せないぞ。」
アナスタシア
(目を輝かせながら頷く)
「覚悟はできています。」
【場面転換】
ナディアは船着場の方を指さしながら、アナスタシアを促す。
ナディア
「まずは一緒に観測をしよう。私の船で星を見るには最高の場所がある。」
二人は酒場を出て港へ向かう。背後には、密かに二人を見張る教会の密偵の姿が影となって浮かび上がる。
【シーン終わりのモノローグ】
ナディア(モノローグ)
「この少女は星を繋ごうとしている。でも、その先に待つ運命がどれほど過酷か、まだ知らないんだろうな。」
波音が静かに響く中、新たな仲間を得たアナスタシアの旅はさらに危険な領域へと踏み出す。
【次の展開】
この後、ナディアの協力を得たアナスタシアたちは、地動説の理論を補強するための観測を行うが、その行動は密偵に報告され、教会が動き出す。危険と発見が交錯する次回――物語は加速する。
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