第6話 星を繋ぐ者たち⑥
シーン5: 『星を巡る陰謀』
場所: フィレンツェの大聖堂・教会の会議室
早朝、荘厳な鐘の音がフィレンツェの街に響く中、教会の司祭たちが密かに集まっている。部屋の中心には、一枚の古びた星図が広げられている。
【情景描写】
会議室は重厚な石造りで、壁には聖書の一節が刻まれている。長い木製のテーブルを囲むのは、厳格な表情の司祭たち。蝋燭の灯りが揺れ、緊張感が漂う。
【会話】
会議を主導するのは、異端審問官エリアス・グリム。冷静な口調で、昨夜の密偵からの報告を読み上げる。
エリアス
「昨夜、星図を持った若い者がフィレンツェ港で目撃された。その者は観測所にいたルカ・ファルコーネの関係者と思われる。」
他の司祭たちがざわつく。
司祭A
「ルカ…彼の観測所が以前から怪しいという噂があった。星の運動を研究しているとか…。」
司祭B
「それが地動説と関係しているとすれば、大問題だ。教会の権威を脅かす危険な思想だ。」
【キャラクター描写】
エリアスは周囲の動揺を一蹴するようにテーブルを軽く叩き、沈黙を取り戻す。
エリアス
「慎重に動くべきだ。この件が広がれば、教会全体の信用に関わる。だが、無視するわけにもいかない。」
(立ち上がりながら)
「まずはルカの観測所と、その関係者を徹底的に調査する。特に、昨夜目撃された若者を追え。」
【新たな展開】
そこへ、密偵の一人が扉を開けて入ってくる。彼は昨夜の追跡の詳細を報告する。
密偵
「失礼します。昨夜、星図を持ち逃げした者を見失いました。しかし、彼らはナディアという航海士と接触しているようです。」
司祭B
「ナディア?港のならず者ではないか!そんな者が地動説に手を染めているとは…。やはりこの思想は放置できない。」
エリアス
(考え込むように顎に手を当てながら)
「ナディア…航海士としての知識を利用された可能性がある。彼女も我々の管理下に置かなければならない。」
【場面転換】
エリアスは窓際に立ち、遠くに広がるフィレンツェの街を見下ろす。朝日が教会の塔を染め始める中、彼の表情は冷たく険しい。
エリアス(モノローグ)
「星々を追う者たちか…。だが、彼らの動きは全て教会の目から逃れられない。真実を求めるなら、それに相応しい罰を覚悟してもらう。」
蝋燭の炎が揺れ、部屋の中に陰影を作り出す。エリアスの計画が動き出したことを象徴するように、聖堂の鐘が重々しく響く。
【シーン終わり】
エリアスが再び会議室に戻り、司祭たちに命令を下す。
エリアス
「まずはルカ・ファルコーネの観測所を徹底的に監視せよ。そして、ナディアという女の動きを追え。異端の芽を摘み取るには、迅速かつ冷徹でなければならない。」
司祭たちが頷き、部屋を出ていく。エリアスの背後で星図が蝋燭の光に照らされ、その図形が揺らいで見える。
【次の展開】
エリアスの命令を受けた教会の密偵たちが動き出す。一方で、アナスタシアとナディアは次の観測の準備を進めていた。彼女たちの行動が教会に知られるのは時間の問題であり、危険が迫っていることを二人はまだ知らない――。
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