2話 正体の調査
琴音と会うたびに私は惹かれていった。
なんか、私のこと恋多き女性と思う人もいるかもしれないけど、10年に1人とかだからね。
最近は、すこし多いかもしれないけど。
前回は琴音は酔っ払って、あまり話しはしなかったけど、話すと面白くて楽しい。
私が知らないこともよく知っていて、一緒にいると、いろいろな世界を見せてくれる。
私達は、ナムコ・ワンダーエッグとか、ディズニーランドとかに行った。
鎌倉とか、伊豆とか、いろいろな所にも行って、楽しい一緒の時間を過ごした。
鎌倉では、梅雨のときに行って、色とりどりの紫陽花が咲き乱れる風景に圧倒されたわ。
でも、そんな気分になれたのは琴音が一緒だったからだと思う。
琴音は、いつも私の手を握り、私のことを暖かく見守ってくれていた。
歩き疲れるとカフェで一緒にスイーツとかを食べ、琴音の話に大笑いとかもしたわ。
いつのまにか、琴音の動かす腕、後姿とか、いつも琴音を目で追っていたの。
また、琴音が私の顔をみると、なぜか恥ずかしくなって下を向いてしまう。
こんな気持ちになったのは久しぶり。
一緒に並んで歩いている時に、ふと横にいる私に顔を向けるときが一番、好き。
口元がきりっとしていて、目元は琴音の優しさを象徴している。
そんな私をみて、琴音も、自分のことを好きになっていると気付いたみたい。
だからか、この前、私の頭に手を置き、撫でてくれた。
昔は、そんなことされたら、私の髪の毛を乱さないでって嫌いだった。
だけど、琴音から撫でられたときはとっても嬉しかったわ。こんなこと初めて。
なんか、ふと我に返ると、琴音のことを考えていたなんていう時間が増えていった。
この前なんて、夢で琴音が私に唇を重ねてきて、私は目を閉じて幸せを感じていた。
私は、もう夢中になっていて、自分の気持ちを抑えられないみたい。
「凛、今日は誕生日だったね。プレゼントなんだけど、喜んでもらえるかな?」
「えー、嬉しい。なんだろう。あ、ブレスレットだ。とっても、素敵。こういうの欲しかったんだけど、どうして知っているの。本当に、ありがとう。嬉しい。」
琴音は、私の気持ちをいつもわかってくれて、優先してくれる。
こんな人は、そんなにいない。
そして、一緒にいて、私は、とても自然で、ありのままの自分でいられる。
でも、琴音は、自分のことはほとんど話さない。
なにか話せないことでもしてるのかしら。とってもいい人だと思うけど。
住んでる所とか、働いている会社といったようなことを話す気配がない。
やっぱり、私のことを調べているの?
でも、そんな非効率的なことしないわよね。
そんな気配もないし、突然連絡しても、どんなときでも会ってくれる。
酔ったから、今日は帰りたくないと突然いっても、いつも、朝まで一緒にいてくれる。
仕事は、コンサルタントをしているとか言っていた。
海外出張とか多いみたい。
でも、いつも、出張期間とかきちんと教えてくれるし、海外からメッセージもくれる。
多分、自分のことを詮索されるのが嫌いなんだと思う。
そういう気持ちは分かる。私もそうだもの。
だから、琴音から話すまでは、無理に聞かないことにしてるの。
琴音は、真面目だし、きっと私のことを幸せにしてくれる。
だから、安心してるし、いつかはきちんと話してくれるはず。
今夜も琴音と一緒に飲んでいた。
「聡子、あの事件で死んだ新婦だけど、彼女には悪いけど、あの事件で、私はとてもいい人と出会うことができたと思っている。」
「私も、凛と出会えて良かった。でも、友達がいなくなっちゃったわね。その友達とも付き合ってたの?」
「いえ、周りは、聡子と私は仲が良いと思ってたかもしれないけど、実は、聡子のことは、あまり好きじゃなかったのよ。」
「どういうこと?」
「いつも、聡子はみんなの中心で、みんな、聡子、聡子って、聡子のことばかり。でも、聡子の裏の生活は嘘にまみれていたの。聡子は、どうしてか私にはあまり飾らなかったから、私からはよく見えた。」
「嘘って?」
「好きでもない人を好きっていったりするのはよくあるけど、それだけじゃなくて、人の悪い噂をいつも流して、炎上するのを楽しんでたのよ。そして、ある人には、その人のことを真剣に考えて仲間だからサポートさせてなんて言って近づくの。そして、別の人がその人のことを貶めているなんて嘘を伝えて疑心暗鬼にさせ、その2人の関係が壊れていくのをエンターテインメントのように面白がっていたの。そして、最終的には相手を支配していく。」
聡子は更に超能力者。言っていることを信用させる超能力を持っている。
だから、誰もが聡子のことは信じる。
そして、よくニュースとかで周りを洗脳する教祖様のように、人を支配していく。
どうしてか、私には効かないようだけど。
私のような超能力者には、警戒していたのかもしれない。
お互いに弱みを持っているから、仲のいいふりをしていたのかしら。
いえ、すでに私も騙されているのかもね。
今回の新郎も騙されていたんだと思う。
彼はとてもいい人だった。聡子にはもったいない。
でも、明らかに超能力者と信じられる人以外には、そんなことは言えない。琴音にも。
だから、通常の女性の嫌らしさとして伝えるしかないのは、もどかしかった。
琴音が、私のことを調べているという疑惑はまだ残っているから。
別に、聡子に死んで欲しいなんて思ったことはない。
でも、今回の事件で聡子が死んでも、悲しい気持ちはなかった。
「そういう女って、いるわよね。いずれにしても凛がそんなに落ち込んでなくて良かったわ。」
「そうなの。でも、冷たい女性なんて思われたらなんて考えていたから、これまで言えなかった。」
「そんなこと気にしなくていいのよ。なんでも、言ってよ。」
「本当に、琴音って、いい人ね。」
「そうじゃなくて、私が凛を好きなだけ。」
その晩、琴音は公安の課長と話していた。
「あの爆破事件で超能力者の8割を殺せたし、生き残った人たちについては、2名を除き超能力者ではないことが確認できた。1名の女性は今調査中だが、もう1人の、お前に調べてもらっている新婦と友達だったあの女だが、超能力者ではないと言い切れるか、俺たちのことをどこまで知っているか、分かったか?」
「調べていますが、超能力者ではないと思います。そんな素振りは一切見えません。また、私達のことを、ほとんど知らないと思います。どこにでもいる普通の女性ですよ。」
「レズビアンだということで、お前を派遣したが、お前自身が情に流されるなよ。もし、怪しい動きがあれば、すぐに殺すからな。」
「はい、わかりました。」
超能力者の活動はまだ終わっていなかったことに公安はまだ気づいていない。
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