6話 抗えない
そうは言っても、俺は、相変わらず週に1回は女を買っていた。
不思議だよな。もともと女だった俺が女を欲するなんて。
そうは言っても、女を抱きしめ、その中で精子を出したいという欲求は抑えられない。
女を抱けない日は、凛を想像して1人エッチをしていた。
凛を汚すようで申し訳ない気持ちになる。
だけど、1人でいる時に思い出すのは凛のことだった。
美しい顔、背は低く、バストも大きくはないけど、全体のバランスがいい体。
抱きしめると、とてもいい匂いがするのだろう。
肌も、なめらかで清らかに違いない。
それに比べ、現実に抱きしめる女のあそこはグロテスクだ。
むしろ、男のあれの方が美しいかもしれない。
でも、それを女に入れると、この女を征服したという気持ちも味わえる。
俺の女なんだと。
これは自分の遺伝子をこの世に残したいという高尚な欲求なんだよ。
女だって、暴力を振るわなければ、気持ちいいと喜んでいる。
女も、お金が手に入り、気持ちいいんだから、誰にも悪いことはしていないんだし。
今日も渋谷の街に来て、公衆電話ボックスにあるチラシを手に取る。
スリムな子、胸が大きい子、未亡人系などの紹介が書かれた冊子状のチラシだ。
1回90分、2万円で、呼ばれた子が指定したホテルに来るというシステム。
だから2万円の他に6,000円程度のホテルの休憩代を払えば女と寝れる。
俺は、いつも来ている道玄坂のラブホテルに入った。
部屋の写真が移ったパネルが壁にあり、そのボタンを押して、受付からキーを受け取る。
ラブホテルの受付の顔には、1人で入ることに違和感の表情は出ていない。
そういう客も多いのだろう。ホテルに水商売の女を呼ぶ客が。
部屋に入ると、チラシの電話番号に、今夜はグラマラスな子が欲しいと電話した。
20分ぐらいしたころだろうか、部屋のベルが鳴った。
女たちが10人ぐらい待機している事務所がこの辺りにあるのだろう。
俺は、ハイと言ってドアを開けた。
今日の女は、背が低く、太っていない範囲でグラマラス、胸も大きい。
ヒップが大きいのはそそられる。俺のあそこが、もううずいている。
女は、入りますと言いながら靴を脱ぎ、靴の方向を変えて揃えた。
こういう女はだらしないと思っていたが、それは先入観なんだろうか。
よく教育されている。
「おにいさん、今日はありがとう。どうする?」
「まずは、ここに座って。」
俺は、ベットに座った女の肩に手をかけ、背中から腰に手を動かした。
そして、唇を重ね、丁寧にブラ、パンツを脱がしたんだ。
下の毛はよく手入れされている。
感じる所に口を押し当て、同じタイミングで上下に舐め回した。
女も声が止められないようだ。
あそこから白いねっとりしたものが出てきたときに、俺のあそこも固くなる。
そして、俺は固いものを入れ、激しく動かした。
「気持ちよかったわ。上手いわね。私お風呂、先に入っていいかしら。」
「俺も、一緒に入っていいよな。」
「いいわよ。」
俺だけがお風呂に入っている時にクレジットカードを盗むなんてことがないわけじゃない。
だから、一応、離れないようにもしている。
湯船はなく、シャワーを2人で浴びたんだ。
「おまえの胸、大きいよな。上から見ると、ブラをしていなくても大きな谷間だ。」
「恥ずかしいわ。そんなにさわらないでよ。また感じちゃうし。それとも延長する?」
女は俺の棒に手をおいて、さすり始めた。
「まあ、今日はここまででいいや。とってもよかった。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。」
俺は、お風呂を出てタオルで体を拭いていた。
女も体を拭き、バックをいじっている。PHSで事務所に終わったと連絡するのだろうか。
「ここに座ってよ。」
「ああ。」
俺は女の横に座った。
女は俺の唇に再び、口を重ねた。アフターサービスっていうところか。
俺はキスをしながら目を閉じた。
その時だった。背中に衝撃が走り、俺は床に転げ落ちてしまった。
目の隙間から見えたのは、スタンガンを持ったさっきの女。
そして、女は、ナイフを俺の胸に何回も突き刺した。
そうか、公安の仕業だったんだ。
女のあまりに自然な態度に、つい気を許してしまった。
早く、だれかに乗り移らないと。まずは、この女にでも。
しかし、体はスタンガンで痺れて動けず、何度も突き刺される痛さで集中ができない。
超能力を使えずに、意識は遠のいていった。
もう、終わりだ・・・・。
血しぶきが壁一面に飛び散るラブホテルの一室に公安が数人入り、部屋を掃除する。
そして、お風呂で俺の体を切断して、ビニール袋に入れ、カートに押し込んだ。
もう、この部屋は入る前と同じ。何もなかったかのよう。
殺人をした女は、何事もなかったように笑顔で部屋から出た。
渋谷の街で、鼻歌を歌ってカートを押しながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます