第15話

「え、どういうこと……?」


 リビングには、秋川が居た。

 折角服貸したのに着ず、下着姿のままで。


 まぁ、そこまではなんとなく分かる。肌にも焼肉の匂いついてるからね。どうせならお風呂入ってから着替えたいという気持ちは、まぁ分かる。

 でも服抱き締めてたのはホントになんで? 常になんか抱き締めてないと落ち着かないタイプの子?

 もっこもこのパジャマだったからそりゃ抱き心地は良いだろうけど、ソファの隣に普通にクッションあったのよ。なんで服の方抱いてんの?


「わっかんねー……」


 冷蔵庫を開け、オレンジジュースをコップに注ぐ。

 ヘアオイルを縫って、顔に化粧水を塗り込んで、スマホを開く。姫乃から『喧嘩とかしてない?』とメッセージが来てたので、『お陰様でね』と返しておいた。

 っていうかランチ後を行動なにも報告してないのに現在進行形っぽい様子でメッセージ送られてきたあたり、たぶん姫乃、私が秋川を家に泊めるとこまで読んでたっぽいな。怖いわ。予知能力者かよ。いや千里眼かな?


 愛梨と姫乃と三人で作ったメッセージグループにも通知があったので開いてみると、愛梨が今日デートした場所の写真を投稿していた。なるほど、遊園地行って、映画見て、イルミネーション見て、ホテルね。彼氏持ちらしくイブを満喫してるわね……。


 私は、何? 補習してランチして髪切ってメイクして一緒にお出掛けして買い物して焼肉食べて家に泊める。これ相手が男子だったら完全にデートなんだけど、女だし、秋川なんだよなぁ……。


「……何してんだろ、ホントに」


 ドライヤーで髪を乾かしながら、なんとなく付けたテレビをぼうっと眺める。

 ゆっくり低温で髪を乾かし終えたあたりで秋川が風呂から出てきたので、「おかえり、使う?」とドライヤーを渡す。


 あー、寝るとこ準備しないとなぁ。っていうか明日のスケジュールも考えなきゃ。

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