第6話 動物にも感動するなんて!
翌日早朝、起きて早々に朝食を済ませた2人は、支度を済ませ外へ出る。
家から幹線道路に出て駅に向かって歩いた。
タクシーを捕まえるにもまだ時間が早いせいか走っていない。
幹線道路を15分程歩いただろうか。しかしあと10分程歩けば駅だったのだが。
レオは歩き慣れているのか普通にしていたが、普段自転車移動がメインのマークはというと、1マイルも歩かないうちに音を上げた。
「レオ、タクシーが見付からない。ライドシェア頼んで向かおうよ」
「タクシーとは昨日の乗り物かな?……してライドシェアとは何ぞや?」
「ライドシェアも知らないの?個人タクシーみたいなもんだよ。ちょっと待って」
言うとマークは道路脇に座り込み、スマホを取り出してライドシェアアプリから車を手配するつもりだった。
20分程の待ち時間。それでも歩くよりはと予約を入れた。
車で駅に向かえば3分位、そこから駅を過ぎて10分程走ると目的の動物園に着く。
「20分待つってさレオ。だから少し休もう」
「やれやれ。マークは若いのに持久力が無いのう。自転車ばかりに頼らずに少しは歩かねば身体が
「レオは元気だね。感心するよ。ここから動物園まで、あと5マイルはあるんだよ。ずっと歩いてたら死んじゃうよ」
「死ぬとは大袈裟な。私はワクワクで胸が踊る」
「レオはそうだろうね。でも僕は小さい頃にはよく両親に連れてってもらってたから、もうワクワク感はないよ」
そうこうするうち、ライドシェアの車が到着。行き先を告げて料金先払い。
今時はタクシーよりも安く乗れる場合もあるライドシェアだったが、タクシーと変わらぬ金額に内心ガッカリのマークだった。
※※※
動物園到着。
動物園とは言っても、周囲にはショッピングモールが有り、小さいながらコテージスタイルの宿泊施設も整っている。
離れたところにはキャンプ施設があって、人も多く来ていた。
そして動物園のエントランス。
レオは初めて見るものばかりで目を輝かせてキョロキョロしている。
チケットを買って戻って来たマーク。
「はい入場チケット。入ったら何か食べようよレオ」
レオは受け取ったチケットにも感激して、表裏と眺めていた。
入場すると、動物のいる檻には向かわず、軽食の売店に足を向けた。
売店近くのベンチに腰掛けて待つレオ。
トレイを持って戻って来たマーク。
「ここのホットドック最高だよ。はい、君の分はこっちね」
売店は、都市部で有名なホットドック屋のチェーン店。
マークはレオにホットドックとペプシコーラを渡した。
「うーん、美味い!やっぱりこのホットドック食べなきゃねー」
レオはホットドックを食べる前にペプシコーラを口にした。
「こ、これは美味い。甘さが癖になりそうだ」
「でしょー。このホットドックとコーラの組み合わせはまさに神」
「コーラ?コーラという飲み物か。うん、美味い」
「コーラ初めて?有り得なーい。全くレオはどこまで古代人なんだよ」
「あ、あ、いや。誰も飲ませてくれなんだよ。私は籠の鳥というやつだった」
マークはホットドックの最後の一口を頬張りながら、
「籠の鳥?レオの若い頃は何も経験できなかったの?」
レオもホットドック最後の一口を口に放り込むと言った。
「何も経験出来なかったと言うと噓になるが、あまりにも適当に過ごしていた。だから何も気にしなかった。目で見たものを経験とし全て確かめた。それをノートに書いている毎日さ」
レオはグビグビとペプシコーラを流し込む。
「ふーん。籠の鳥って言うか、何だか監禁させられてるみたい。自由は無かったの?」
「いやいや、自由さ。すこぶる自由。自由が故にそれに甘んじてはいかんのだ。マークはそうではないのかな?」
「パパママからは何も言われない、自由だよ。でも自分の目標が分からなくて……」
「そうか、私も同じだった。目標も無ければその成功も無い。私は成功しなかったのだよ」
「……レオ。……ん?それも誰かの受け売り?」
「いや、私の持論」
そんなこんなで2人は、軽食を済ませると動物巡りと相成った。
<<< ワニ園 >>>
じっとワニ達を見つめるレオ。
「レオ、ワニは怖いから次行こ。はい次つぎー」
「そう思っていたらワニは倒せない。怯えてしまってはワニは恐ろしく決して倒せないものだ。イルカは自分の背びれの刃がどれだけ切れるか、ワニのお腹がどれだけ柔らかいかを知っているのさ。両者が戦う時、イルカはワニの下に潜り込み、お腹を切って殺す。自分の強みを理解しさえいれば、恐ろしいと感じたワニでも倒すことは可能だ」
「……うん……確かに。自分の力量を理解して挑めば火もまた涼し、だね。ほら行くよー」
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