第4話 レオの興味は変わってる 

 翌日の昼。

望遠鏡にフィルターを備えて、黒点を観察することにしたマーク。


「よし、このくらいでいい。レオ、覗いてみて。ずっと見てると、コロナやプロミネンスが見られるよ」


 望遠鏡を覗くレオ、暫く時間が過ぎる。


「ま、マーク!これは凄いぞ!!火を噴いているのが見えた!」

「うんうん、長く見てれば見られるんだ。それは火じゃないけど、そんなに珍しかった?」


(珍しいなんてもんじゃ語り尽くせないが、ここは平静を保たねば……)


「いやいや、これは芸術的。素晴らしい物を拝見した。ありがとう」


 太陽黒点でここまで感動されてもと思ったマークであった。

すると、上空でバラバラと音がした。二機のヘリコプターが近くを飛んでいた。

レオは驚き上空の音のする方を見上げた。


 アーミーのヘリコプターが行き過ぎていく。

輸送ヘリとそれを護衛するヘリの2機。訓練だろうか、やや低空で通り過ぎて行った。


 レオは目を輝かせてマークに尋ねた。


「マーク、あれは何だい?」

「多分、陸軍のヘリだよ。訓練かなぁ、輸送ヘリともう1機だったね」

「ヘリ?あの空飛ぶかたまりはヘリというのか? 」


(レオったら、ホントに古い人間だ。ヘリを知らないだなんて……ま、まさかタイムトラベラー?……まさかのまさかだよね)


「マーク、あやつを近くで見てみたいんだが、どこで出会える?」

「へ?何を見たいって?」

「あのバラバラいうやつの事だよ。あれを見たい」

「多分、部屋でも見られるよ。全くレオの興味って変わってるね」


 2人は、2階のマークの部屋に降りてきた。


 部屋に戻って来たマークは、パソコンを開く。


「さっきのヘリはこれじゃないかな?」


 画面には、さっき上空を過ぎ去ったヘリの動画が映っていた。


「おぉう、凄い!凄いじゃないか」

「ふーん。凄いけど、あまり凄くない」

「何を言うマーク!これは素晴らしい発明なのだ」

「ヘリの発明?何がどう素晴らしいの?」


 マークはレオの熱の入りように感心していた。


「マーク、あれはどうやって飛んでいる?何故翼を羽ばたかず飛んでいる」

「あぁ、レオには珍しいかなぁ。あれはヘリコプターって乗り物だよ。羽が回転して飛んでるんだ。それがどうかした?」


(お、おぅ。これぞ我がアイデアを実現した姿。まさしくこれを望んでいた。あー、ああぁ感無量。後世の者達は上手く応用できたのだな。うんうん、嬉しい限りだ。もうこのまま元の時代に帰ってもいいくらいだ)


 感極まって涙するレオ。涙を拭いながら、

「いいものを見た。これでまた一つ願いが叶ったというもの」

「何をブツブツ言ってるの?ヘリがそんなに珍しい?それを見て涙してる人なんて初めて見たよ。さぁさ、ランチの買い出ししなきゃ」


 玄関を出て、自転車に跨るマーク。


「レオ、ちょっと買い物に行ってくる。留守番頼むねー」


 そう言うと、自転車に乗ったマークは通りに出ていった。


「お、おぉう。……ん、んん?なんじゃあれは!マークの乗っていったものは何だ?私が描いた物に似ている。構造はどんなだ?これもまた後世の者達が継承してくれた賜物たまものなのか?」


 30分程過ぎた頃……。

玄関先に腰を下ろし、ブツブツ言っているところへマークが買い物から帰って来た。

レオは目を輝かせてマークの自転車を見ている。


「またぁレオはこんな自転車にも興味があるの?」

「あ、あぁ、いや、その……マークの乗っていた物に興味があってね」

「自転車が珍しい?」

「自転車?あ、あぁその通り。自転車は素晴らしい乗り物だからね」

「何でも珍しがるね、レオは」


 自転車を玄関横に停めると、ランチを抱えてレオを促し部屋に入っていった。


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