第22話
「んで、だ。おい二人正座」
「は、はい」
「はーい」
ソファにふんぞり返る私と、その前でバスローブ一枚で正座する二名。
うん、良い眺めね。このまま足でも舐めろと言ったら――いや普通に舐めてきそう。ナシ。今のナシ。
「まず、間仲人見。あんたがもよこに会わないようにしてた理由を答えて」
「しばらくしたら姫乃のこと好きになるだろうなーと、お邪魔するのも悪いかなって」
「…………そう」
説明されても全然分からんわ。なんだそれ。しかもちゃんと予想通りになってるし。
「んじゃ、次もよこ」
「はい……」
「えーと、……いつから?」
「それは分かんないけど、……ちゃんと自覚したのは、ついさっき」
「………えぇと、それは、風呂場でってこと?」
「の、前。……間仲さんが帰ってきた時」
「え? 待って、どういう意味?」
さっき間仲人見が帰ってきた時、1カ月以上ぶりに顔を見合わせた時、こいつ泣いてたよな? あれってようやく会えたって泣いたんじゃなかったの?
「違ったんでしょ」
それを補足した間仲人見が、俯くもよこの肩を抱く。
「うん。……私が好きになる人は、この人じゃないんだなって、一目見ただけで分かって」
「……一目惚れの、逆ってこと?」
一目嫌い? そんな言葉ないか。
「どうしようもなくなって、泣いちゃって。あぁ、好きだなって」
「……あたしのことが?」
「そう」
「なんで……?」
えっ待って、話聞いても全然分かんない。なんでその流れで感動の再会を白けた目で見てた私の方を好きになるのよ。胸貸した方でしょ普通。胸貸し損じゃない。
「姫乃、モテモテだね」
「うっさい」
私は最初からモテモテだっつーの。女にモテたのは初めてだけど。
っていうか、えぇ……? なんか身体洗ってる時、やけに私の身体ばっかジロジロ見るなと思ってたけど、あれ私の後ろにある間仲人見の身体見てたんじゃなかったの? 私の方見てたの? えっ、やだぁ……。
「フラれちゃったけど、そこんとこ、どう?」
「…………ちょっと色々足りなかったかな、と」
「そうだねぇ、姫乃、ぐいぐい押せばイケるタイプだし」
「おいそこ変なこと教えんな」
コソコソ話が下手なんだよ。普通に聞こえてんの。
「じゃあ、しちゃう?」
「え?」「は?」
「姫乃なら文句言いつつ身体くらい貸してくれると思うけど……」
「そ、それっ、せせせせせセフレってやつですか!?」
「そうなるかな」
「…………ゴムは?」
「いや何に使うんだよ!!」
実は生えてましたーってか、誰にだよ!!
「萌子ちゃん、知ってる? 女同士は、――避妊が要らないんだよ」
「……あっ!」
「むしろ何を妊娠するのよ……」
「想像妊娠って言葉があってね、」
「そのおしべとめしべを説明するみたいな口調で胡乱な話するのをやめろ」
それ想像だけで妊娠するんじゃなくて妊娠みたいな症状が起きることでしょ。無から生命を誕生さすな。鶏じゃねーんだから。
「ともかく、」
「おい」
話終わらすな。
「あんまり口で説明するの得意じゃないから、――混ざれる時に、自分で混ざりにおいで」
「は?」
「はっ、はい!」
あれっ、変な方向に――
バスローブを留めていた紐をぽとりと床に落とした間仲人見は、急に立ち上がると私に蔽いかぶさってきて――
「だっ、か、ら、ここではやめて……っ!!」
抵抗しても勝てない相手に、それだけ伝えると。
「ほらね、」なんて、後ろで正座する女にニッコリ笑って伝えるのだ。
あーあ、もう、なるようになれよ……。
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