第30話 横浜デート?2
というわけで、中華街総合エンターテインメント施設、横浜大世界に到着。まずは1階の本格食べ歩き中華専門店で腹ごしらえ。ここに来たなら、大籠包(だいろんぽう)を食べなきゃいかんでしょ。というわけで、俺とかりんちゃんは「ふかひれあんかけ大籠包」を、みかさんは「炙りチーズ大籠包」を注文。値段は1つ900円ほど。
注文を済ませ、呼び出し端末を渡される。それで呼び出されるとお渡し口に取りに行く。フードコート方式だ。店内は立ち食いが基本なので、カウンターテーブルだが、俺たちは1つだけあるベンチを占拠、そこで食べることにした。
大籠包は、デカい肉まんにスープを掛けて、ストローを差した食べ物。まずはストローで肉汁を吸って、肉まんを食べる。ふかひれあんかけ大籠包は、醤油ベースのあんかけに、ふかひれと、たけのこなど具材がたっぷり入って、食べ応えがある。炙りチーズ大籠包は、上にチェダーチーズが掛かっていて、濃厚な味わいだ。
追加で俺は、百年シュウマイ、牛鍋シュウマイ、トマト、海老の4種類のシュウマイが刺さった、食べくらべ串550円を食べる。かりんちゃん達は、伝統の肉まんを食べてる。600円。大きい上手そうな肉まんだ。
それから3人で、人気の中華スイーツ串、ごま団子串550円を食べる。三色ごま団子串(季節餡・黒ごま・こしあん)だ。昼食が済んだ俺たちは、いよいよ2階にある写真館へ。
変身写真館で選んだコースは「ベーシックプラン」お一人様5000円。コースに含まれているものは、館内衣装レンタル1時間。服と靴。写真館撮影スペース内での撮影時間10分間。衣装の種類は、チャイナドレス・少数民族衣装・アオザイ・漢服・男性用衣装など。つまりここからは時間との勝負となる。
俺たちはチャイナドレスに着替えて、いざ撮影開始。
プロカメラマンによる指南付きの写真撮影だ。小道具やポーズを変えて2ポーズ20カット前後を撮影。3人で頼んだので、3人一緒のグループ撮影になる。俺が中心で、両脇をかりんちゃんとみかさんで固める。1人ずつの個人撮影は別料金となるので、それはしない方針。
15分程で撮影終了。パソコンで画像を見て、気に入った画像をプリント。L判サイズ800円×3をプリントした。全撮影データ収録CD-ROMは、7000円。これは3人で出し合って購入。俺が代表で預かることに。これで25分経過。
その後は10分間の写真館撮影スペース内での自由撮影。俺たちは互いにスマホで、キャッキャッと騒ぎつつ撮影しあう。
残り20分で、写真館を出て、館内でのスマホ自由撮影。あっという間に時間が過ぎて、衣装を返却。これにて変身写真会は終了。
それから同じ2階で手相占いをやっていたので、占って貰った。1回2000円。本当女の子って占い好きだよな。俺は普通だったが、今は占って貰うのは嫌だと思ってる。なんか俺が男の娘なのがバレそうな気がするんだよな。まあ今回は付き合いだから占って貰ったけど。
占いが終わったら、同階にある茶房へ。
俺は珍しい烏龍茶、桃子烏龍茶600円を、かりんちゃんはマンゴーミルク700円。みかちゃんは白桃ソーダ700円を注文。しばらくお話したり、写真を見せ合ったりして楽しく過ごす。最後に1階の横浜大世界マーケットで、お土産を購入。それから横浜大世界を出る。
横浜大世界は、4階から上で「アートリックミュージアム」やらいろんな企画をやってるが、あそこに入るには入館料が必要なので、今回はパスした。
さて、次は向かうのは、横濱媽祖廟(よこはま まそびょう)キラキラの中華寺だ。横浜大世界の向かいにある。俺はここに以前1回来たことがあるので、ナナさん観光ガイドによる媽祖廟案内の開始だ。
「やって来ました横濱媽祖廟。ここには天上聖母のマソさんが祀られています。ではマソさんて誰? かというと、一言で言えば海の聖女でしょうか。大昔の実在の人物で、神通力を使えて、雲に乗って島々を回り、島民や船で困っている人を助けました。肉体が滅んだ後も、海上に現れて人助けを続けたので、神様として信仰されるようになりました。中国で自然発生した民間宗教ですね。過去には中国共産党に弾圧されたりもしました。海を渡った華僑の心の拠り所であり、華僑が進出すると、まず祀られるのが、この媽祖廟です。ただ、この横浜の媽祖廟は2006年に建設された新しいお寺ですけど」
と、2人に解説してから、寺に入る。まず自販機で500円のデカいピンク色の線香を購入。おばちゃんに渡すと線香に七輪で火をつけてくれる。続けて金紙とお札を500円で購入。これでお参りの準備は出来た。
俺たちは背の低い飾り門を、かがんで通過して寺内に。階段を登って本殿手前の香炉に向かう。ここに7人の神様を祀る5個の香炉があるので、そこに順番に線香を差していくのだ。
「まず1番目の香炉は、玉皇上帝(ぎょくこうじょうてい)最強最上位の神様です。プレートに書いてありますね。このように3礼してから、香炉に線香を差します」
「2番目の香炉がマソ様。プレートには天上聖母(媽祖様)航海安全・疫病忌避・健康祈願 優しさと心を育む女性の神様。とあります」
「3番目が註生娘娘(ちゅうせいにゃんにゃん)子宝の後利益。臨水夫人(りんすいふじん)は安産祈願。この香炉にはプレートはついていない無記名です」
「4番目もプレートはついていない無記名。ここは月下老人(げっかろうじん)縁結びの神様。文昌帝君(ぶんしょうていくん)は、知識と知恵の神様です」
「この月下老人ですが、名は知られていませんが、この神様の権能は、日本人もよく知っています。月下老人は、中国の物語に出てくる婚姻をつかさどる神様です。手には、誰と誰が結婚するかが書いてある婚姻簿。それと赤い糸を持っています。月下老人は、私たちの目に見えない赤い糸が見え、人の縁を結んでいきます。そうです。この神様は、運命の赤い糸伝説の元ネタの神様ですね。」
「おぉ~」
「それ知ってるかも」
「少女漫画や小説、ドラマでも良く見られる題材ですからね。最後の5番目の香炉は福徳正神(ふくとくせいしん)商売繁盛 金運などのご利益があります。これで、すべての線香を差しました。次は煌びやかな本堂内でのお祈りです。撮影はNGです。帽子は取る決まりです。今回はおみくじはパスします。あれは時間がかかりすぎる場合がありますので」
「さて、ここが本堂内。正面中心に媽祖様の像、右に註生娘娘、臨水夫人。左に月下老人、文昌帝君。その隣に福徳正神が祀られており、天井に玉皇上帝、像はありません。お祈りはここにクッションがありますので、完全には座らず、膝立スタイルで両手を合わせてのお祈りとなります。このように。まずは天井の玉皇上帝にお祈りしてください。次に中心の媽祖様。それから右、左、の順で参拝を」
こうしてお祈りが終わり、俺たちは階段を下る。降りきってすぐに右に向かうと「金亭」と書かれたプレートが付いている香炉がある。ここに購入した金紙を放りこんで、燃やして神様に捧げる。これにて媽祖廟観光ガイドのナナの仕事は終わりだ。初回ならこれで十分だろう。おみくじやお守りはパスしたが、欲しいなら次回にお願いしたい。もう夕方だし。
「なんか色々勉強になりました。ありがとうございますナナさん。分かりやすい解説で、流石はナナさんですね!」
「そうでしょう、そうでしょう。もっと尊敬してくれていいのよ?」
そんなわけで、最後にすぐ南にあるパンダグッズ専門店に寄る。ここはパンダグッズしか売っていない個人商店だ。今回はここで運よく「電動パンダ」ランバダバージョンを見つけたので購入することにした。千円のおもちゃだ。何故か、かりんちゃんやみかちゃんも購入することにしたようだ。
「電動パンダ」は電池で動き、可愛らしい動きで、音楽を鳴らしながら歩くおもちゃだ。Jポップバージョンはすでに持っている。ただ、このおもちゃが惜しいのは、音楽と目が光るギミックをオン・オフ出来ない所だ。2千円出すので誰か「デラックス電動パンダ」を販売してくれないだろうか?
それから俺は、ぱんだマグカップ、小さいパンダ人形、パンダトートバッグ、ぱんだレトロ調Tシャツを購入。かりんちゃんは、手乗りぱんだぬいぐるみ 笹くいパンダぬいぐるみ お手玉ぱんだぬいぐるみ等、ぬいぐるみ中心に購入。みかさんは、ぱんだタオル、ヨーヨーぱんだぬいぐるみ、金運パンダ札等を購入するようだ。
しかし2人とも、ぱんだまんTシャツまで買うつもりのようだ。いや、きっと似合うし可愛いとは思うが、あれは目立つデザインだからな。なかなかのチャレンジャーぶりだ。まあ最悪、部屋着にすれば問題ないか。
こうして俺たちの横浜初デートは無事に終了。日も沈み始めたので帰宅することにした。3人で電車に乗り、菊名で別れることとする。
「ナナさん。今日はありがとうございます! とっても楽しかったです。来て良かった」
「私もー。面白かったよ」
「そう言ってくれれば嬉しいわ。そうだ、2人とも、今度私の家にこない? 私が住んでる大倉山を案内してあげる。来週ぐらいどうかしら?」
「えっと、でもいいんですか? 私達を住んでる家に招待なんて……」
かりんちゃんはそう言って、戸惑い気味に俺に問いかける。まったく構わないさ。情報交換は情報を集める基本だろ? 彼女達とはもう少し親密になって、もうちょい色々な情報を聞き出したい。距離を詰めるのにあまり時間は掛けたく無いのだ。2人には、エインセルが化けた、偽サトルにも是非会って貰いたい。
「いいわよ。だって私達、お友達じゃない。お友達を家に呼ぶのは当然でしょ?」
「はい。お友達です! それじゃあ来週またお願いします!」
かりんちゃんは、頬を染め、花が咲くような笑顔で俺に笑いかけた。
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