12/20 伊達眼鏡
『
「名物料理は未定、名物菓子は鬼界の五色プリン、名物酒は鬼界の金柑唐辛子の酒、名物土産は人間界の彩り麩。名物菓子と名物酒は鬼界の物なので、名物料理は人間界の物がよろしいのではないですか?」
「ああ」
「では探しに行きましょう。あ。
「ああ」
キビキビハキハキスタスタパッパッ。
漸く怠惰な性根を叩きなおして、真面目に生きる事を選んだのか。
それが事実であったのならば感激の涙も滂沱と流せそうだと、野良は思ったが。
(翠は幼年期に真面目過ぎたがゆえに、大人になってのち、怠惰な鬼となってしまったのか?)
『
野原から移動した休憩所にて。
疲弊して少年の姿となって眠っていた
幼児化して記憶も退行しているのかと思いきや、現状を把握しているのでそうではないらしいのだが。
(そもそも疲弊しておるのならば小鬼の姿になるはず。だが、翠は、少年の、人間の姿。何故だ?)
歩き方を見るに回復はしているはず。
であれば、大人の姿に戻ってもおかしくはないのだが、少年の姿のまま。
野良は品行方正な翠の小さな背中を注意深く見つめながら、後に続いたのであった。
(今暫く様子を見るが、元に戻らぬようならば鬼界に行き、翠の事を尋ねた方がよいかもな)
(2024.12.20)
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