第2章―パソコン/傘―
第8話
眞仲が転校してきて、もう一ヶ月が過ぎた。
今日から新入生キャンプが始まる。
新入生キャンプの間だけでも嫌なこと全部忘れられたらってバスの中でずっと考えていた。
現地に着くと、学年主任や色んな先生が決まりきった話を長々と話している。
・・・・・長いな~
眞仲は若干くたびれていた。
やっと話が終わり、最後にキャンプ場の責任者の人から記念品が渡されるみたいだ。
こういう物は大体、成績が良い人とか、先生が前もって指名しているものであって自分には関係ないと眞仲は思っていた。
キャンプ場の責任者の人が壇上に上った。
「えーと、今から記念品の贈呈をしたいのですがB組の藤匡君・・・藤匡 航君、前に出てきてください」
藤匡の名前が呼ばれて眞仲の周りがザワザワし始める。
(・・・アイツだろ?)
(・・・入試満点の奴って)
(・・・えーマジでスゲーじゃん)
(・・・でも今は殆んど学校来てないんらしいよ)
(・・・何それ?頭悪いヤツへのイヤミ?)
(・・・さあどうだか)
所々から色んな声が聞こえる。
藤匡が眞仲の横を通って壇上に上り、記念品をもらっていた。
開会の言葉らしいものが終わり、各自部屋に荷物を持って行き、夕食までの時間を自由に過ごしていた。
夕食時になると生徒が野外の調理場に出てきた。
その日の夕食はグループで協力して作って食べるようにと冊子には書いてあった。
グループ毎に分けられているカレーの材料を持っていってグループで勝手に作って良いらしい。
元々、料理が得意な眞仲は材料を持って来ると黙々とカレーを作っていた。
でも、グループの生徒達は喋ってたり、料理をした事がないとか理由を付けて適当にしている。
カレーが出来上がり、眞仲がカレーを机に並べるとグループの人達は座って食べ始める。
夕食を食べながらグループの中で色んな話をしている。
「コレ結構旨いな」
「ホント美味しいじゃん」
真田と楠葉がカレーの話をしているから
「・・・そうやね。美味しいな」
眞仲が会話に入ると
「・・・・・・・」
周りがシーンとなった。
「???」
ワケがわからないまま眞仲はスプーンを動かす。
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