第45話
出ていったヒカリは文房具屋に来ていた。
ヒカリは店頭に並ぶ商品をしゃがみ込んで見つめている。
「いらっしゃい、お嬢ちゃんはクレパスが欲しいのかい?」
店のオジイさんがヒカリに尋ねる。
「ちょーだい?」
ヒカリはクレパスの箱を持って話す。
「は?ちゃんとお金を払ってね」
「ヒカリ、おかねないっ」
「じゃあ、ダメだね……後でお母さんかお父さんと一緒においで」
「ーーーーーーーー…ドコ行ったんだ?」
勇斗はヒカリを探していた。
「ーーーーーーーー…いた」
ヒカリは文房具屋のオジイさんに言い寄られているように見えた。
「だから、おーーーーー…」
「ーーーーーーーー…すいません、何してるんですか?」
勇斗はオジイさんとヒカリの間に割って入った。
「いや、ワシは何もしとらんよ……この子がウチの商品を取ろうとするから」
「ーーーーーーーー…えっ?」
勇斗はヒカリを見る。
ヒカリが下を向いている事にオジイさんの言葉が正しいとわかった。
「ーーーーーーーー…すいませんでした」
「ウチはお金さえ払ってくれたら良いんだよ…」
「ーーーーーーーー…ヒカリ、それ返して……帰るよ」
「ーーーーーーーー…ヒカリ、何であんな事したの?」
帰り道、勇斗は足を止めてしゃがみ込んだ。
「ーーーーーーーー…店の物を勝手に持っていったり、取ったりしちゃダメなんだ……わかった?」
勇斗はジッとヒカリの目を見つめる。
ヒカリは背を向けた。
「ーーーーーーーー…ヒカリ?」
「…イサトおにーちゃんにおえかきしてあげるんだもん……」
ヒカリは背を向けたまま話す。
「ーーーーーーーー…えっ」
「おえかきしたら…イサトおにーちゃん…ヒカリのコト…ほめてくれるもん…ズッと…ヒカリのそばにいるもん…っ」
ヒカリは涙を溢しながら話し続ける。
「みんなっ…みんな…ヒカリのコト…キライになっちゃ…ヤダよ…っ」
「ーーーーーーーー…ヒカリ」
「みんな…ヒカリのコト…すてちゃヤダーーーーーーっ!!」
「ーーーーーーーー…俺ならココにいるだろ………どうしたんだよ、ヒカリーーーーーーーー…」
勇斗はヒカリをタダ抱きしめる事しか出来なかった。
「あのガキ……自分だけが特別だなんて思ってんじゃないってのーーーーーーーー…」
電柱の陰から二人を見つめる女子学生の姿ーーーーーーーー…
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