第46話
泣き疲れたのか、勇斗がおぶって帰るとスグに寝てしまった。
『…みんな…ヒカリのコト…キライになっちゃ…ヤダよ…っ』
「ーーーーーーーー…」
ヒカリの言葉が勇斗の頭の中を回り続ける。
「ヒカリちゃん眠った?」
汐莉が部屋の前に立っていた。
「ーーーーーーーー…うん、やっと寝た」
勇斗は音を立てないようにゆっくり扉を閉めた。
「勇斗、ちょっとおいで」
言われるまま、勇斗は汐莉の部屋に連れられた。
「それで…ヒカリちゃんはクレパスを取ろうとしたんだ?」
「ーーーーーーーー…うん、俺の絵を描くんだって………」
勇斗の表情は暗くなる。
「凹むな!!」
汐莉はティッシュ箱を勇斗に投げつける。
「でも、ヒカリちゃんだってクレパスぐらい持ってるんじゃないの?」
「ーーーーーーーー…聞いても、何も言ってくれないし……」
「アンタって昔からそうなのよね、賢いクセに感情が絡むコトになるとサッパリなんだから」
「ーーーーーーーー…姉貴の言う通りだと思う」
「子供ってのはさ、本当に傷ついた時ほど大人に『傷ついた』って言えないもんなのよーーーーーーーー…からこそ周りにいる大人が気づいてあげなきゃダメなのよ」
汐莉は勇斗に問うように話す。
「何があってもアンタだけはヒカリちゃんの手を握って上を向いてな!!今のヒカリちゃんにはアンタしかいないんだから」
「ーーーーーーーー…うん」
汐莉の言葉に勇斗は気持ちを切り替えれた気がした。
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