第43話
『アナタって可哀想な子なんだね』
『でも、本当は皆アンタの事が嫌いなんだよ』
『だからアンタの親もアンタのコト捨てたんだよ』
ぱちっーーーーーーーー…
ヒカリは目を覚ました。
「………っ」
ヒカリは部屋の中を見渡した。
「……イサト……おにーちゃん?」
いつもいる勇斗の姿がソコにはないーーーーーーーー…
ーーーーーーーー…ドキッ
ヒカリの頭にイヤな記憶がよぎる。
たったったっーーーーーーーー
ヒカリは台所に走った。
ガチャーーーーーーーー…
「ーーーーーーーー…ヒカリ、起きたんだ」
弁当作りをしている勇斗の姿ーーーーーーーー…
「満琉、ソース取って」
「僕は目玉焼きには醤油だと思うけどな」
他の家族の姿ーーーーーーーー…
いつもと変わらない光景にヒカリは安心していた。
「ーーーーーーーー…ほら、今の内に着替えておいで」
「はーい……」
幼稚園の前ーーーーーーーー…
「ーーーーーーーー…よしっ、忘れモノはない?」
「ないです……」
「ーーーーーーーー…わかった」
勇斗が立ち上がった。
ギュッーーーーーーーー…
ヒカリはズボンを握った。
「ーーーーーーーー…?」
勇斗はヒカリの前に再度しゃがんだ。
「…イサトおにーちゃん……いっちゃ…ヤダよ…」
いつものヒカリからは考えられない。
「ーーーーーーーー…どうした?」
「………」
「ーーーーーーーー…言ってみ」
「………」
ヒカリは哀しそうな顔をしているが、何も言わない。
「ーーーーーーーー…スグに迎えに来るから、少しの間だけ待てるか?」
勇斗はヒカリの頭を撫でながら尋ねる。
「…ぅ…ぅん…」
「ーーーーーーーー…じゃあ」
勇斗は振り返らずに幼稚園から出ていった。
「ーーーーーーーー…」
勇斗は歯痒くて仕方なかった。
「ーーーーーーーー…松蔵」
学校に着くと、スグにロッカーで授業の用意をしている心晴に声をかけた。
「ーーーーーーーー…ウチのヒカリと知り合いなの?」
「別に、たまたま居合わせただけや…」
「ーーーーーーーー…そっか、昨日さアイツに何があったか知らないかな?」
「………」
「ーーーーーーーー…あの時から笑わなくなったって言うか、何か変わった気がして…」
「…知らんよ、最初からあそこにいたワケやないし」
「ーーーーーーーー…そっか、何か悪い」
勇斗は礼を言って教室に戻った。
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