第41話

「あー!!キレイなオハナだよ」


幼稚園の帰り、勇斗とヒカリは公園にいた。


「ーーーーーーーー…ヒカリ、どこ行くんだよ?」


ヒカリは自由気儘に走り回る。




「オハナつんでもいー?」


「ーーーーーーーー…別に構わないけど、コッチの花壇からは抜いたらダメだよ」


「はーいっ」


ヒカリは元気に返事。






…ブブブ…ブブブ…


勇斗が携帯を開くと、汐莉からのメール。


『蒸しパン食べたい

あとアイスも食べたい』


「………」

(休日になると姉貴から俺への注文が増える)




「ーーーーーーーー…じゃあ、帰ろっか」


勇斗は携帯を閉じて、ヒカリに声をかける。


「えーやだよ、もっとヒカリあそびたい」


「ーーーーーーーー…」

(ウチの家系の女は自由気儘な血が流れてるのか?)


勇斗はタメ息が出てくる。




「ーーーーーーーー…じゃあ、買い物してスグに戻ってくるからココで待ってて」


「はーい」


「ーーーーーーーー…絶対に動いたらダメだから」


「はいっ」


勇斗はヒカリを信じて、小走りで行った。


















「ねぇ、何してるの?」


ヒカリに女子学生が声をかけてきた。


「………」


「楽しそうだね、私も混ぜて?」


「いいよ!」


ヒカリと女子学生は並んで、花壇を眺めている。




「綺麗な色だね」


「うんっ」


ヒカリは鞄からクレパスの箱を出した。


「ほら、ヒカリのクレパスとおなじだよ……む、むらさきいろっ」


「そうねーーーーーーーー…ねぇ、アナタ竹之内さんの家の子供じゃないよね?何でいるの?」


女子学生は尋ねた。




「………あのね、ヒカリのパパがヒカリのコトおいていなくなったの」


「へーぇ」


「だからね、ヒカリのオベントウもパパのかわりにイサトおにーちゃんがつくってるんだよ」


「…いつも、その人と一緒なの?」


「うんっ…ヒカリ、イサトおにーちゃんのコトだいすきっ」


ヒカリは笑って話した。






「ふーん、アナタって可哀想な子なんだね」


「えっ…」


「だから、優しくしてくれるんだーーーーーーーー…でも、本当は皆アンタの事が嫌いなんだよ」


女子学生はニヤッと不敵な笑みを浮かべた。


女子学生はヒカリからクレパスの箱を奪って立ち上がった。
















「だからアンタの親もアンタのコト捨てたんだよ」


女子学生はクレパスをゴミ箱に捨てた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る