三歩目

第29話

「フンフンフーン♪フンフフーン♪フーンフフン♪」


ヒカリは鼻唄混じりに絵を描いている。








……パラ……パラ……パラ


その横で勇斗は本を読んでいる。




「イサトおにーちゃん?」


「ーーーーーーーー…何?」


勇斗は本を閉じてヒカリの方に体を向けた。






「おえかきしたよー」


ヒカリは画用紙を差し出した。




「ーーーーーーーー…コレ…って」


画用紙には勇斗の絵が描いてある。


「ーーーーーーーー…えっと、コレって俺でしょ?もしかしてくれんの?」


「うん」


ヒカリは笑って頷く。




「ーーーーーーーー…ありがとう」


少し感激した勇斗はヒカリの頭を撫でる。




「エヘヘ(笑)」


ヒカリは照れながら嬉しそうに笑っている。






「ーーーーーーーー…そうだ、コッチにおいで」


勇斗は何かを思い出して、ヒカリを手招きする。


「?????」


ヒカリは不思議そうな顔をしながら勇斗の隣に座る。



「ーーーーーーーー…ほら」


勇斗が出してきたのは一冊のアルバム。




「…コレなに?」


「ーーーーーーーー…見てみ」


「あー!!」


ヒカリの目に映ったのは赤ん坊を大事そうに抱える男性の姿ーーーーーーーー…




「パパだーーーーーーーー」


ヒカリは目を見開いて驚いた。


「ーーーーーーーー…お前の父さんがウチに送ってくれた写真なんだ」




「これ…ヒカリ……?」


「ーーーーーーーー…そうだよ」


「ヒカリちっちゃい!!」


「ーーーーーーーー…そうだね、今も小さいけどね」


勇斗は足の間に座るヒカリに写真を順番に見せる。






「ーーーーーーーー…お前の事、すごく大事そうに抱いてるだろ?」


「うん、コレもコレも…ぜんぶパパといっしょだ!!」


「ーーーーーーーー…そうだよ、だからスグに逢いたくなって帰って来るよ」


「また…ヒカリのことダッコしてくれるかなー?」


「ーーーーーーーー…大丈夫、きっと抱きしめてくれる」


勇斗の言葉にヒカリは満面の笑みーーーーーーーー…











「ーーーーーーーー…そうだ、絵ありがとう」


「うん」


「ーーーーーーーー…じゃあ、とりあえず台所に飾ろうか」


「やだよーっ」


「ーーーーーーーー…でもさ、この絵ってーーーーーーーー…俺のメガネと色が違わないか?」


改めて見る勇斗は苦笑いだった

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