第28話

勇斗とヒカリは家路を歩いていた。


「ーーーーーーーー…」


勇斗は時折、ヒカリの様子を見ているが


「……………」


ヒカリは無言で勇斗の後ろを歩いている。


「ーーーーーーーー…」

(こんな時って何て言えば良いんだ?怒る…慰める…褒める……どうなんだ?)


勇斗は考えている。






「ーーーーーーーー…まあ、生きてたら、こんな日もあるからさ」


勇斗は言葉を選んで話す。


「ーーーーーーーー…だから、忘れるのが一番だって………」


「ヒカリ…わるくない…」


「ーーーーーーーー…?」


ヒカリの言葉に勇斗は首をかしげる。






「だって…ススムくんっがっ…ヒカッ…ヒカリの…オッ…オニッ…オニッギリ…っ」




「ーーーーーーーー…オニギリ?」


勇斗はヒカリの腕から垂れている弁当の袋を見た。




「ーーーーーーーー…そっか、美味しくなかった?」



フルフルーーーーーーーー…


ヒカリは涙を拭きながら首を横に振る。






「うれしかった……っ」



「ーーーーーーーー…えっ?」




「………んぅ~」


次から次に流れてくる涙をヒカリは必死に堪えようとしている。




「ーーーーーーーー…泣くなって」


勇斗は優しくヒカリの頭を撫でながら言う。






「ーーーーーーーー…明日は頑張るから、オカズ何が良い?」


「………」


勇斗は屈んでヒカリと目線を合わせて言うと、ヒカリは少し考える。




「……オニギリっーーーーーーーーと玉子焼き!!!」


ヒカリは満面の笑みで答えた。






(ーーーーーーーー…やっぱり、オカズは欲しいよな)


勇斗はヒカリの言葉に何だか納得していた。






「ーーーーーーーー…じゃあ、帰ろうか?」


勇斗が手を差し出した。








「うんっ!!」


ヒカリは勇斗の腕に抱きついた。


勇斗の顔は自然と微笑んでいた。

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