第27話

「ーーーーーーーー…今日は十分前に来れた」


幼稚園の前で勇斗は時計を見て安堵する。






(ーーーーーーーー…あぁ、オニギリ作るなんて言わなければ良かった)


いざヒカリと顔を会わせると思うと気持ちが落ちる。


それでも、迎えに来たのだからと勇斗は決心して園内に入った。




「ーーーーーーーー…えーっと、梅谷 ヒカリを迎えに来ました」


「あぁ、竹之内さん……少し良いかな?」


「ーーーーーーーー…はい」


先生と勇斗は園内の人のいない場所に移った。











「今日の昼食の時間ね……ヒカリちゃんが………そのーーーーーーーー…男の子に手をあげちゃって」


「ーーーーーーーー…えっ!?何ですかそれっ?」


勇斗は驚いた。


「当の本人達は理由を話したがらなくて………」


先生は申し訳なさそうに話してくれた。


「ーーーーーーーー…あの、ケガはしなかったんですか?」


「えぇ、少し頬が赤く腫れたダケだから心配しないでね」


「ーーーーーーーー…そうですか、何もかもありがとうございます」


勇斗は先生に頭を下げる。


「私からも向こうの親御さんに謝るケド、何か言われるかもしれないから………まあ、子供のケンカなんだけどね」


「ーーーーーーーー…はい」


二人は話を終えた。








「ーーーーーーーー…あの、ヒカリは?」


「部屋にいるケド、今もマダ少し落ち込んでいるみたいで………」


「ーーーーーーーー…そうですか」


勇斗は窓越しのヒカリの姿を見つめていた。

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