第13話
………キィー………キィー………
ブランコに揺られているヒカリ。
勇斗はヒカリの前で足を止めた。
「ーーーーーーーー…なぁ」
ビクッ!!
勇斗が声をかけると、ヒカリは体を強ばらせて、ゆっくりと顔をあげる。
「ーーーーーーーー…何してんの」
「!!?」
目の前にいる勇斗の姿にヒカリは言葉になく驚いた。
「ごっ、ごめんなさい!!」
ヒカリは急いでブランコから降りて、勇斗に謝った。
「ーーーーーーーー…まあ、見つかったし………帰ろっか」
勇斗は汗を拭って息を整える。
「かえる!?ヒカリのいえにかえれるの!?」
ヒカリは目を見開いて言った。
「ーーーーーーーー…いや、まあ、俺んちだけど」
「……………っ」
自分の家じゃないと分かると、ヒカリの眉が少し下がった。
「ーーーーーーーー…じゃあ、帰ろうか」
「……………」
「ーーーーーーーー…いや、何で!?家帰ろうよ」
振り返ると、勇斗に背を向けてブランコに乗っているヒカリに驚いた。
「ーーーーーーーー…なぁ、もしかして今日の迎えに遅れたコト怒ってんの?」
「……………」
「ーーーーーーーー…悪かった、明日はちゃんと迎えに行くから」
「……………」
ヒカリは何も言わず、ただ黙っている。
「ーーーーーーーー…あのさ」
「ヒカリ………パパのつくったオニギリがたべたい」
「ーーーーーーーー…えっ」
「ヒカリ、いつもたべきれなくて、のこすから………だからパパっ!!ヒカリのことキライになっちゃったんだ………っ!!」
ヒカリはポロポロと涙を流しながら話す。
「………ちゃんとイイコにするから!!………イイコにするから………パパのトコつれてって……っ!!」
ヒカリは泣き続ける。
勇斗はその姿を見てることしか出来ない。
「ーーーーーーーー…ヒカリ、パパのコトだいすきだもん…」
(ーーーーーーーー…こんな小さい子が寂しくないワケないよな)
この言葉に勇斗は朝、ヒカリに聞いたコトを反省していた。
「ーーーーーーーー…心配すんな、誰も嫌いになんてならないって………」
勇斗はヒカリの頭を撫でると自然と抱きしめていた。
「ーーーーーーーー…俺が作るよ」
勇斗はヒカリの涙を袖で拭うと微笑んで言った。
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