第11話
幼稚園も終わり、園児達は迎えに来た親と一緒に帰って行く。
「せんせーさよーなら」
「はい、さよなら」
ーーーーーーーー…
ーーーーーーーーーーーーーーーー……
次から次に親が迎えに来て、徐々に園児は帰って行き、部屋に残っているのはヒカリだけになっていた。
「ヒカリちゃん」
幼稚園の先生はヒカリに話しかける。
「もうすぐしたら、お迎え来るから良い子にして待ってようね」
「ヒカリ、ちゃんとまってるよ」
「じゃあ、もう少しだけ待ってようね」
そう言いって先生は部屋から出ていった。
「……………」
一人残されたヒカリは積み木で遊んだり、絵本を読んだりしたが時間だけが過ぎていく。
「……………」
ヒカリは勇斗が来たかどうか靴箱を見ようと部屋から顔を出すと先生達が何か話している。
「ねぇねぇ、ヒカリちゃんってお父さんいなくなったんでしょ」
「えぇ、お母さんも亡くなったとかーーーーーーーー…」
「可哀想よね」
かわいそうーーーーーーーー…
その言葉にヒカリは自分の父の事を思い出していた。
『ーーーーーーーー…ヒカリ、パパが帰ってくるまで良い子にしてるんだよ』
『…ぅん』
『じゃあ、おやすみ』
雅史はベッドに寝ているヒカリの頭を優しく撫でている。
ーーーーーーーー…カチャ
『ーーーーーーーー…行ってくる』
雅史はヒカリを起こさないようにゆっくりと扉を閉めた。
ーーーーーーーー…
ーーーーーーーーーーーーーーーー……
『………』
どれだけ時間が経ったか分からないが、ヒカリは目を覚ました。
『パパ………?』
ヒカリは部屋の中を見るが誰もいないーーーーーーーー…
『パパーーーーーーーー…』
ヒカリは玄関の前でズッと待ち続けた。
ズッとーーーーーーーー…
ズッとーーーーーーーーーーーーーー……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます