私はこの瞬間をきっと一生忘れない。

１８ 合言葉

　無言で教室に入る。教室も相変わらず一斉に静かなまま。

「ここちゃんおはよ」

「歌織！！心配したよー！！」

２日ぶりの歌織は包容力？安心感があって思わず飛びつく

「えへへ＿＿＿ちょっと風引いちゃって」

「病み上がりだ！無理しちゃだめだよ？！」

「がってん！」

「そういやここちゃん」

「んー？」

「何か合ったでしょ」

「え？！」

「やっぱり。わっかりやすーい」

「くそぅ」

「＿＿＿＿＿で、今に至るというわけですよ歌織さぁん」

我ながらすごく神妙な顔を作れたと思う

「うーん、めんどくさいね」

「そういえば歌織このこと知らないんだね」

「え？うん。あたし中学生にならないとスマホ貰えないからさ」

「ひぇ。鬼畜だ」

「で、そんなことよりこれ見て！」

そう言って歌織が見せてきたのは、紛れもないオリ漫。

「ついにやったか！」

「やったよ！」

「ここちゃんといっしょに考えたオリ話！漫画にしたの！」

「きゃぁ！読ませて読ませて！」

「まだできてないけどいいよー」

そう。オリ漫。私と歌織がちょっと前に考えた話だ。

主人公美穂は５年の頃に人助けをし、いじめられて人間不信。加えてブラック勤め。

美穂に助けられた名前忘れた子は中学進学と同時に転校。美穂に恋しちゃってる。

みたいな設定を考えていたのですよ。ふっふっふ＿＿＿＿。

相変わらず絵は上手い歌織です。

§

「心愛さぁ。ほんまよく＿此処＿来れたな」

それは昼休み。道下Tが居ない時に起こった。

何よ今更。しかも喧嘩腰。ムカつくけど我慢。私は大人のおねーさん。

「なんで？だって学生の基本じゃん？」

「あんた皆になんて言われてんのか知ってんの？」

「知ってるよ？」

「じゃあなんで来れるん。自分の今の立場分かってんの？」

なんでって言われても困るよね。

「なんでって？たかが噂。そんな噂につられたのは？私を信じなかったのは？」

「だから話を聞こうと＿＿＿！」

「へえ？１日開けて？昨日は話す機会もなかったし、くれなかったじゃん。

それなのに今更？昨日は皆と同じように笑って。蔑んで。弄んで。馬鹿にたくせに。

＿＿＿＿＿何様だよ。おめでたい頭してるね。そんなの友達って言えるの？

＿＿＿＿＿私にはわからない。＿＿＿＿なんで噂を信じるの？話を聞かないの？

付き合いが短いからこそ話を聞くんだよ。＿＿純恋にとって私とは、噂を信じるような関係だったんだね。見損なったよ。純恋。」

９割捲し立てるように。溜まっていたことをぶつける。

「＿＿＿＿ｯ＿ちがｯ＿＿＿＿！！！」

ぎゅっと。思いきり手を握り。下唇を噛み。目に涙をためて。

「その拳（こぶし）意味あるの？殴れるの？＿＿＿やってみなよ。そんな度胸もないくせに。友達捨てたくせに。都合が悪くなったら逃げるの？結局自己保身。こっちの気も知らないで。なんだかんだ私を支えてくれたのは純恋じゃないし、あんたらでもない。」

そう言って周りを見渡す。目が合うと一斉に目を背ける。思わず笑ってしまう。

「＿＿＿滑稽だね。こんなに張り合いがないんだね。」

「Amour?」

ッ＿＿＿＿＿！！フランス語。フランス語を話せるのは私と月島だけ。だと思う。

私と月島で今日学校に来るときに決めた。不安定になった相手を止める言葉。

月島から私には「amour.」私から月島には「mois.」

「Désolé, c'est mon combat. S'il vous plaît, n'entrez pas.」

（ごめんけどこれは私の戦い。入らないで）

「Si nous continuons comme nous le faisons actuellement, nous perdrons.Calme-toi un peu.」

（今のままじゃ負ける。少し落ち着け。）

「Je ne peux pas me permettre de perdre. Ne me sous-estime pas. j'ai compris?mois?」

（負けるわけ無いじゃん。甘く見ないで。分かった？）

「........Je comprends. Mais n'agis pas sur tes émotions. Elles profiteront de votre faiblesse.」

（＿＿＿分かった。でも感情で動くな。弱みに付け込まれるぞ。）

「Merci pour vos conseils.」

（忠告ありがとう）

「S'il vous plaît, aidez-moi si quelque chose arrive. Je compte sur toi. mois?」

（もしもの時はよろしくね。頼りにしてるよ?）

「で？なんだっけ？殴るんだっけ？来なよ。今の純恋なら。私に負けるよ？」

自分は煽りの才能があると自負している。

相手は空手経験者。自慢していたもんね。こちらは合気道経験者。勝算はわからない。相手がしかけてきたら受け流す。相手は感情的になるはず。そうすれば力任せの攻撃。合気道相手にそれはよろしくないね。こちらの勝算がぐっと上がる。でも今日は借り物の服だし。手加減はしないといけない。相手が怪我しても自己防衛。仕方がない。

お。構えた。やるか。なら私も「郷に入っては郷に従え」でしょう？

＿＿＿＿＿＿＿＿＿

作中に出てくるフランス語。

作者がただ憧れているだけなので、意味ないです。

加えて機械翻訳なのでおかしいかもしれませんね。あはは。