11 This is Tsukishima's house

 「あ、はいっ!ハッピーバレンタイン」


いけないいけない。渡すの忘れそうだった。いつの間にかタルト出てきてる。

タルトってどうやって食べるのが正解なんだろう。


「ありがとう。女子から初めてもらう」

「え、告白されたって言ってたからもうもらったことあるのかと」

「告白、ね、うん。夏だけどね」


うん?どういう心情これ?わかんない。泣くよ?


フォークで食べてる...真似してタルトにフォークを刺すけど、切れない。

悪戦苦闘してると前、月島の方から笑い声が聞こえてきた。堪えれないけどこらえようとしてる笑い。


「いいよいいよ。気にしないで。浅野の食べたいように食べて」

「いいの?」

「うん。疲れるじゃん。そんなの。切れなくて悪戦苦闘してるの可哀想だったし」

「ばかにしてるでしょっ!」


がぶりと口にタルトをいれる。ほんのりフルーツの酸味とクリームの甘味がいい感じに合ってておいしい。


「おいしい...」

「良かった。」

「声に出てた?」

「うん。結構。」


学校で出るタルトよりもちょっと大きいくらいのタルトはすぐに無くなった。


「あ。」

「ん?どうしたの?」

「いや、なんでもない。」

「そう?ならいいけど」


ココアはまだ温かい。


気がつくと時計はもう18時に迫っていた。


「あ、もう帰らなくちゃ」

「うん。送るよ。」

「ほんと?でもお母さんたちは?」

「__まだ帰ってこないから。大通りまで送るよ。」

「ありがと」


「おじゃましました」

「ありがとう。楽しかった。」

「こっちこそ!タルトにココアまでごちそうになちゃった」

「お礼だから。」

「もらい過ぎな気がする...あ、じゃあさ、来年は何がいいか考えといてよ!」

「バレンタイン?」

「そ!」

「来年もくれるの?」

「いらない?」

「いる。ありがとう。」


他にも他愛もない会話をした。


「今日はありがとう。楽しかった!また明日、学校でね。」

「うん。気をつけて。」

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