第3話 プロローグ③

 

 

 三つ目。この世界には機会さえあれば得られるジョブとそれに属するスキルがある。そしてそれとは別に、数少ない人たちのみに与えられる天賦スキルというものが存在する。

 

 おおよそ六~八歳の頃に授かると言われるそれは、人によって違うものであり、だいたい百人に一人の割合で得られるそうだ。ただせっかく天賦スキルを授かったとしても、必ずしも有用とは言えず、実用レベルの効果がないものや他で代用可能ものが多いらしい。有用な天賦スキルはさらに百人に一人、つまり一万人に一人ということになる。

 

 七歳になったばかりの頃、それが突然私へ降ってきた。雷に打たれたような衝撃。思わず膝をついて頭を抱える。眩む視界の中、その瞬間理解できた。私の天賦スキルは【学習】。

 

 この世界においてスキルとは、レベルが上がったからスキルを得て、はい新しいことができるようになりましたという単純なものではない。多くの場合、才能の上に積み上げた技能が神様にスキルとして認められ、スキル化すると補正を受けられるようになる。

 

 逆に考えればスキルが発現するということは、それにふさわしい適性や努力があったということになる。人より物覚えが良かった。観察するだけでコツを掴むことができた。これらはそういうことだったのだろう。もしかしたら停滞を嫌悪するこの性格も。

 

 たぶんこの天賦スキルはそれだけで何かができるという即効性のあるものではなく、晩成型だ。私はこの事を誰にも話さなかった。そう、両親にも。

 

 幼い頃から親との間には、いや他の人との間には壁を感じていた。それこそ同じ生き物ではないのではと考える位に。

 

 またこの頃には既に村を出ることを考えていた。より前に、より上にと努力し、改善して生活を変えていきたい私は、この村の人たちに迎合できない。その道を阻む存在は私の自由を縛る鎖であり、ここにいるだけで自身が腐っていくような気がしていた。

 

 もしかしたら、この村に残って少しずつ皆を変えていくような道もあったのかもしれないけれど、小さな頃に無碍にされた記憶は、この村に対する興味関心を奪ってしまった。

 

 私は息をするように無意識の内に天賦スキルを誰にも明かさないと決めていた。既に未来を縛られているというのに、ここでさらに私の価値が高まってしまっては、もっと制限が増えてしまう。私には時間が必要だ。誰にも知られたくない。それさえできれば、きっと先には自由が待っている。なんだってできるようになるはずだ。

 

 生活に余裕のある家の子は、十歳になると街にある教会で洗礼式に参加する。そこで神様からジョブを授かるのだ。本当はとても高いお金がかかるらしいのだが、国の子供たちのために王様が補助金を出してくれていて、安いお金で儀式に参加できるらしい。

 

 ジョブのありなしによって成長するにつれて大きな力の差が生まれるため、将来に強い影響を与える。その日食べるものにも困るほどでなければ、家を継ぐ長子は参加させる。私の家でも長男は参加できて、次男は参加できなかった。私の場合は本来参加することはなかっただろうが、村長の息子との婚約が決まっている。格上の家との結婚のため、意地でも参加させるだろう。

 

 ジョブを授かるとき、きっと神父様にはそれを確認する手段があって、私のステータスを見られてしまう。ステータスにはジョブだけではなく獲得したスキルが記載されていると聞いたことがある。天賦スキルもきっと同じだ。

 

 もし洗礼式に出なければジョブを貰えないけれど、なんとなくだが私には必要のないことのように感じている。……よし、決めた。私は洗礼式に出ない。そのために、それよりも前に村を出る。

 

 停滞しているのが嫌で、前へ進んでいたい。自分の行く末は自分で決める。この狭い村から外に出て、私は広い世界を見たいんだ。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 後書き

 

 初めまして。初めてなのに衝動的に小説を書いて投稿してしまいました。こんな感じで大丈夫なんでしょうか?

 

 そして小説を書くのは大変なのだと思い知りました。読みにくい、描写が足りなくて何が言いたいのか分からないとか、いい感じとか、何でも教えて下さい。

 

 私のやる気が尽きて"無謀な若者の挑戦は失敗し、夢破れて失意の内に村へ帰った"といういつでも使える汎用ENDが日の目を見ないよう、執筆に励みます。

 

 できる限り続けていきたいと思いますので、モチベーション維持のためによろしければ★やフォロー等での応援よろしくお願いします。

 

 

 

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