スマホ渋滞【ショートショート】

「遅刻しました! 道が大渋滞で……!」


オフィスのドアを開けると、上司の冷たい視線が刺さる。

「君、徒歩通勤だろう? 渋滞なんて関係ないんじゃないのか?」


「いや、それがですね!」

僕は両手を大きく広げながら必死に説明した。


・歩道にあふれるスマホを見つめる人々

・突然立ち止まり、画面をスワイプする集団

・誰もこちらに気づかず、まるで障害物コースのような歩道


「本当に進めなかったんですよ! まるでゾンビ映画の一場面みたいで!」


上司は腕を組み、じっと僕を見つめた。

「なるほど……で、お前もその“スマホゾンビ”の一人だったんじゃないのか?」


一瞬の静寂。


僕は視線を落とし、ポケットに手を突っ込んだ。

そこにあったのは、さっきまで歩きながら見ていた自分のスマホだった。

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