授業終了
キーンコーンカーンコーン
やっと6時間目が終わった。なんとか寝ずに今日の授業を受けられた。私の手には、さっきまで睡魔と戦っていた跡が残っていた。シャーペンを手の甲にブスブス刺して眠気を覚ます。誰もが一度はしたことのあるやり方で眠気をどうにかしてやり過ごしていた。
『今日も疲れたな』そう思いながら帰りの準備をしている時、ちょうど授業終わりの山田先生が入ってきた。
「やぁみんな、ボクだよ。3時間目ぶりだね。」
そう言って先生は朝と同じように教卓のところに行き、出席簿をパァンとおいた。周りを見渡すと、相変わらずクラスみんなの顔が死んでいた。
「もーみんななんだその顔は!せっかくの素敵な顔が台無しじゃないかぁ。…まぁいいや。それじゃ帰りのホームルーム始めるよん。日直号令よろ。」
「…きりーつ、れーい」
_お願いしまーす
「ちゃくせーき。」
「はいそれじゃ連絡は、朝言った通り、文化祭について話があるらしいので、実行委員と生徒会のやつは会議室に行くよーに。」
「はーい」
「はい」
「じゃあこれで終わりだよーん。なんか連絡あるやつはいるかー?…いないか?いないな。よし、それじゃ、今日もおつかレインボーブリッジ!!」
朝と同様、先生は渾身のギャグを披露した。山田先生は、相変わらずのドヤ顔だが、クラスのみんなは顔が死んでいる。笑顔だが、笑顔じゃない。なんかちょっと教室が寒くなったな。
「…はいじゃあ日直号令よろしくぅー。」
「…はい。きりーつ、れい。」
_…さようならー
「はいさようならー。また明日なー。」
またもや朝と同様で、冬樹の号令によって静まり返った教室に活気が戻った。
この後は部活の時間だ。部活がない人は、そそくさと帰る人、教室で友達と喋っている人、部活のある友達を待つ人などさまざまだ。
秋溶は、16:10に集合らしく、私よりも早くに会議室に向かった。きっと、生徒会で何か話があるのだろう。私もそろそろ準備して向かおうと思っていたが、委員会の集まりと部活が同じ時間にあったことを思い出し、これから部室に向かう透華と冬樹のところに行って、2人を呼び止めた。
「ふたりともー、ちょっといい?」
「委員会の集まりでしょ?別に遅れてきても大丈夫よ。」
「まぁどちらかといったら来ないほうがマシだと思うぜ。」
「え?なんで?」
『理解が早くて助かるな』、と思っていたら、冬樹が『来ないほうがいい』と言った。どうして冬樹はそんなことを言ったのだろうか。2人にもなにかあるのかな?
「冬樹、しっ!春菜はまだ純粋だから、ねっ!私の言いたいこと、わかるでしょ。」
「おっ、おう、わかった。発言には気をつける。」
透華は冬樹の肩を掴み、私には聞こえないように何かを話していた。何を話しているのか気になったが、まぁ聞かないでおこう。
「あー、それよりも春菜は時間大丈夫なのか?もうそろやばいんじゃないか。」
「えっ?」
冬樹が見せてきたスマホを見ると、そこには16:21と記されていた。委員会の集合時間は16:20だ。やばい。
「うわーー!やばい遅刻だ。2人とも、また後でー!!」
「春菜ー!会議室そっちじゃないわよー。」
「間違えたっ!ありがとう透華、行ってくるー!」
2人にお礼を言い、足早に会議室に向かった。
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