学校
キーンコーンカーンコーン
学校に無事到着した私たちが話していると、チャイムがなった。喋っていた人は、急いで自分の席についた。チャイムがなった数分後、先生がガラガラと扉を開けて、中に入ってきた。教卓に出席簿をパァンとおき、先生が話し始めた。
「はーい全員席についてるなぁー。朝のホームルーム始めるぞー。日直、号令ー。」
「俺かよ…。はいきりーつ。れい。」
_おはようございます
「はい、チャクセーキ。」
今日の日直は冬樹か。にしても、明らかにめんどくさそうな声でふらふらというもんだ。これじゃあ先生になんか言われるに違いない。
「冬樹ー、もうちょっと真面目にやれー。」
やっぱりなんか言われた。
「チッ、めんどくせぇ。」
「なんか言ったかぁー。」
「いえ、何も。」
冬樹の小声で言っていたことが聞こえたのか、山田先生が反応した。だが、いつもはあの先生には向けない笑顔で否定した。まぁ、あの笑顔は良い方の笑顔ではないが。
「そうか、ならいい。では、今日の予定を発表する。今日は、文化祭について話があるようだ。実行委員と生徒会に所属するやつは放課後、会議室にいくように。」
「はい。」
「はい。」
そう言われた時、私と秋溶が返事をした。私は実行委員であり、冬樹はなんと生徒会の副会長らしい。相変わらず、すごい。もう1人の実行委員の子は、風邪で休みのようだ。大丈夫、私がしっかりまとめてくるよ。と、休んでいる子を想像して念を送っておいた。
「よし、これで以上だ。他に何かある奴はいるかー。…よし、いないな。それじゃ、今日も一日がんばロンドン!」
そう先生が言った時、教室がシーンと静まり返った。静かすぎて、風の吹く音やその風でカタカタ揺れる窓の音まで聞こえた。隣の席をちらっと見てみると、冬樹は愛想笑いを浮かべ、冷たい目で先生を見ていた。もしやと思い、周りを目で見渡してみると、クラスみんなの顔がほとんど死んでいた。
「…はい、それじゃあ日直号令ー。」
先生が話し始めた。日直ってことは冬樹か。
「はぁ、キリーツレーイ。」
_ありがとうございました。
あの静まり返った教室で冬樹が号令をしたおかげで、教室にはいつもの活気が戻った。きっと、みんな苦しかったのだろう。そう思いながら次の授業の準備をしていると、山田先生が扉の前で持ち前の大きい声で話し始めた。
「お前らー、次の授業の準備しとけよー。あっあと、3時間目の体育だが、先生が体調崩してお休みみたいだから、数学に変更なー。そこんとこ、よろしくー。」
その話を聞き、クラスのみんなは体育がなくなる嬉しさと、数学に変わる絶望を感じていた。
それもそのはず、体育では事前に先生が体力作りという名の、我らの学校に伝わる鬼の地獄メニューをやると聞かされていた。その地獄メニューが嫌だったため、みんな体育がなくなったことを喜んだ。だが、数学では、あの山田先生が担当している。数学という教科に変わることは別に構わないが、山田先生と授業をするのはいやだという人が、大勢いる。クラス内では、絶望の叫び声と、まだ体育の方が良かったと言っている人など、全員がそれぞれ愚痴をこぼしていた。それは、私たちも例外ではない。
「あの体育のメニューがなくなったのはいいけど、数学かぁ。」
「なんで数学なのかしら。こんなことなら体育の方がよかったかも。」
「いや、体育は嫌かな。それなら僕は、まだ数学の方がいいかも。あの先生は嫌だけどね。」
「てかまじで嫌だ。今すぐにでも帰りてぇわ。」
「それはダメよ。単位足りなくて、補習になってもいいの?」
「それは嫌だ。」
そんな会話をしていると、1時間目開始のチャイムが鳴った。後のことを気にしても仕方がない。今やるべきことをやろう。そして、寝ないようにしよう。あとで透華にこっぴどく怒られてしまうから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます