第17話 美佳子と結婚願望
「それじゃあ皆ありがとう〜! おやすみ〜!」
ふぅ、これで今日の配信は終了だね。同接も悪くなかったし、十分じゃないかな。皆も楽しんでくれていたからね。
ボクも楽しかったし、さやちゃんの所でも良い打ち合わせが出来た。女の子向けのグッズも増やせそうだし、これからまた忙しくなるねぇ。
そろそろ専属のスタッフを雇う方が良いのかなぁ? でもねぇ〜自分でやりたいと言う気持ちもあるんだよね。
せっかく今まで積み重ねて来た物だから、下手に崩されたくはない。でもボクの体は1つだけしかない。歯がゆい問題だよねぇ〜こればっかりは。
「小腹空いちゃった〜何か食べよう」
また何か作って貰えるから安心だね。まだ早計かも知れないけど、咲人君は当たりだったんじゃないかな。
相変わらずボクの人を見る目が正確だと証明されてしまったね。やはり人生は直感だよね、直感が全てを決めると言っても過言ではないよね。
食べる専門のボクとしては、そう言う若者が増えていって欲しいよね。これからは男の子も料理が出来る時代だよね。
「うん、美味しい! これはビールが進んじゃうよ」
まあその分だけ咲人君の仕事が増えるんだけどね。それはそれ、これはこれ。お酒が進む美味しいご飯を作ってしまった、咲人にも責任はあるとボクは思います。
なんて言うのかな、優しい味? 安心してお酒が飲める味なんだよね咲人君の料理。他の料理が出来る友人達とは、また違った味がするんだよね。
彼が優しい男の子だからかな? 人間性が料理に出ているよ。将来咲人君と結婚する女の子が羨ましいよね。
家事が完璧に出来て、ご飯が美味しいなんて最高じゃん。きっと咲人君は育児も一緒にやってくれるタイプだよ。
彼は大人になったらきっとモテるだろうね。人って顔だけじゃあ駄目なんだよね、中身って凄い大事。
凄いイケメンだったとしても、家事育児に非協力的な男性は嫌だよね~。そのタイプは彼氏までだなぁ。結婚はちょっと嫌だよね。
「なぁんて言ってもね〜結局ボクは独身なんだけど」
配信でも良く言っているから、今更なんだけどね。結婚は本気でしたいのだけど、こんな生活をしているボクを受け入れてくれる人が居ない。
これまで付き合った男性は、皆が無理だと言って離れて行った。そんなに女性が家事苦手だと駄目かなぁ?
部屋が汚いのはまあ確かにそうなんだけどさ。だって仕方ないじゃない? 片付けるとか面倒臭いし、掃除とか嫌いだしやりたくない。
人生は一度きりしか無いんだよ? やりたくも無い事に無駄な時間を使うなんて勿体ない。
どんどん世の中が便利になって行くのに、いつまでも昔と同じ生活に拘る理由が分からないよ。家事代行があるのだから、お金で解決すれば良いじゃない。
「とか考えているから結婚出来ないんだけどね~」
分かってはいるんだ、そんな事は。私ぐらいの世代では、こんな女は男性受けが最悪なのだ。
私達の様な配信者が増えた事で、部屋が汚い女性への理解も最近は上がって来ている。だからそれでもオッケーと言う男性も増加傾向にはある。
あるんだけど、ボクレベルだと駄目なんだよね。部屋が汚い事に変わりはないのに、何が駄目なんだろうね。
床が見えるレベルなら許されるのかな? それを思うと、咲人君は何で引き受けてくれたのだろう?
こんな生活能力が最悪の女なのに。かつて離れて行った男性陣とは、明らかに対応が違う。やっぱり若いから? きっとボクの生まれる時代が悪かったんだね。
「ボクが今高校生だったら、咲人君が居たのになぁ」
なんて事を言ってもどうにもならないよね。あと15年遅く生まれたとしても、咲人君に好かれるかはまた別の話だしね。
友達にはなれたかも知れないけど、結婚まで行けるかなんて分からない。意味のない仮定を考えた所で、ボクが結婚出来るわけじゃない。
目の前の現実をみないといけない。どこかで咲人君みたいな男性を見つけないと……なんて無理だよねぇ。
同世代の男性達は、汚部屋住まいの31歳なんて求めていない。それに収入に釣られて寄って来る様な人は嫌だし。
はぁ……憂鬱だよね〜本当に。咲人君みたいな男性、どこに居るんだろう。
「そう言えばさっき会った時、凄い見て来た子が居たなぁ。咲人君の彼女かな?」
駅前で咲人君を見掛けたから、声だけ掛けたんだよね。挨拶しないのも変かなと思ったから。
ただそれだけだったのに、強めの視線を向けて来る女の子が居た。ショートカットの可愛い女の子だった。
…………もしかして、余計な勘違いをさせてしまっただろうか? いやでも、15歳も離れたおばさんを警戒するかな?
20歳ぐらいの女子大生ならともかく。……たぶん大丈夫だとは思うけど、明日咲人君に聞いておいた方が良いかな。
彼女さんが勘違いしていなかったかどうかを。ボクのせいで喧嘩とかしちゃっていたら悪いしね。
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