第3話 〖魔機界(マキナ)〗と〖帰還者〗

私やリク先生が住むこの〖魔機世(マキナ)〗と呼ばれている世界は、空の上にある。


広大な浮上大陸の回りに〖浮島〗〖浮湖〗〖魔洞窟〗等の場所があり、私達人族‥‥‥いえ、私はもう手記人形だけど。以外にもあらゆる種族が共に共存して暮らしている。


そして、この空の上の世界は魔法と機械が共に発展して、私達の暮らしを豊かにしてくれている。

浮遊魔道船、浮遊機城(クレピタークル厶)、自動人形、魔機、浮遊機島、等。あらゆる場所、あらゆる生活にその〖魔機〗の技術は使われ、私達の生活を豊かなものにしている。


私が先ほど飲んでいた魔機油(オイル)もその一つで、魔浮石を溶かして私、自身の身体を滑らかに動かす為の潤滑油(エール)として使っている。


正直、この魔機油(オイル)は人が飲んでもあまり害は余り無くて、ただの魔力の塊でしかないのだけど。リク先生は知らないみたい。


そして、此処とは別に下には広大な世界が広がっていると〖記録院〗に残された〖記録〗には記されている。


そして、リク先生によると、その〖記録〗の中には私の身体を治す手がかりが‥‥‥下世界の〖治癒師〗という方の〖ユグドラの万能薬〗という〖記録〗が手記されていて‥‥‥‥てっ手記したのは私なのだけど。


〖ユグドラの万能薬〗‥‥‥‥この記録について調べる為、政庁の仕事が終わった今日、私とリク先生は〖マキナ公国〗首都イリアスのエクシルス通りにある魔具(ミーティア)の店。〖カンデラ〗に向かって歩いている。



『首都イリアス・エクシルス通り』


「リク先生。何故、私は深帽子と黒の眼鏡を付けているのでしょうか?」


「それは僕が付けさせたからですよ。マリアさん」


「‥‥何故、こんな目立たない服を私は着ているのでしょう?せっかく男性と街を歩っているのにです」


「それは貴女が凄く目立つ方だからですよ。マリアさん‥‥‥‥貴女はシュリル家の〖異才〗。このマキナ公国では有名人ではないですか。だから変のが寄り付かないように対策ですね」


「‥‥‥対策。この深帽子と黒の眼鏡が‥‥‥‥対策?」


‥‥‥‥エクシルス通り。〖魔機界(マキナ)〗のありとあらゆる最先端を行く流行が集う場所。

化粧品、装飾品、流行の服、最新の魔機や魔具(ミーティア)‥‥‥‥骨董市に屋台に露店と何でもありの楽しい場所。


「‥‥‥‥そんな場所でこの格好ですか?」


私は魔浮石でできたガラスに映る自分を見ていみた。


‥‥‥‥地味。だけど‥‥‥だけど。黒の眼鏡の奥に愛らしい女性がいる。はい、私ですね。ごめんなさい。これでも容姿が良いのは自覚してます。ごめんなさい。それに見合う自分磨きの努力もお母様に言われてやってきてるし、少しは自分の容姿に見惚れても良い‥‥‥と思うわ。今は人形に身体が変えられて、人間の身体ではないのだけど‥‥‥‥‥


「リク先生。エクシルス通りで逆にこんな格好では浮いてしまうのではないでしょうか?私はそれと、あの〖メイヤの洋服店〗に行きたいです。是非っ!」


「そうですね。マリアさんは煌びやかなドレスを着るのが好きですものね。何て言いましたか?確か?幼女ドレ‥‥‥」


「コスメイヤーですっ!リク先生!間違えないで下さいっ!」


リク先生が勘違いな事を言うので、私は少し強めな口調で怒ってしまった。


「そうですねー、コスメイヤーでしたね。マリアさんは着飾るのが好きですものねー、あっ!〖魔具(ミーティア)店・カンデラ〗は此処でしたね。入りましょうか。マリアさん」


「ちょ、ちょっと待って下さい。リク先生。コスメイヤーと言うのはですね。それとメイヤの洋服店に‥‥‥」


「は、後で行きますよ。今はそれよりも、〖ユグドラの万能薬〗の〖記録〗について調べる方が優先ですよ。マリアさん‥‥‥やれやれ」



リク先生はそう言った後、少し古めかし〖カンデラ〗の店扉を開く。


ガチャ‥‥‥カランカラン!!


扉を開くと同時に扉の内側に付いていた鐘の呼び鈴がなる。


「はーい!!いらっしゃいませーっ‥‥‥てっ!マリーと先生?!珍しいー組み合わせだねぇ?デート」


「ミリヤさんっ!い、いえ、っ!こ、これは違うんですっ!リク先生とはっ!」


私が赤面しながら、どう良いわけしようか迷っているいと


「えぇ、とある〖記録〗のただの調査に来ただけです。ねぇマリアさん」


「‥‥‥‥‥」


「ヒュー、冷めてる!」


‥‥‥‥一瞬だけイラッとしました。鐘の呼び鈴と共にお店の奥から出てきたのはメイド服の用な服を着た私と同い年位の黒髪の少女。

〖魔具(ミーティア)・カンデラ〗の主人の娘さん。ミリヤ・カンデラさん。


魔具(ミーティア)師の職業(ジョブ)に付く方で、私が通っていた学校では共に勉学を競いあった学友。


「アイナさん。今回はこれについて聞きにカンデラに来たのですが‥‥‥」


「んー?‥‥‥どれどれ‥‥あー、これはうちのパパに直接聞かないと分かんないね。待ってて直ぐに呼んでくるから‥‥‥パパ!!リク先生とマリアが来てるよーっ!パパに聞きたい〖記録〗があるんだってっ!」


ガダガタ!!ドーンッ!


「何?!マリアちゃんが来てるだと?何でそれを先に言わない。友達なら、さっさと上がってもらえ‥‥‥てっ!何で政庁のリク先生が此処にいるんだ?」


大柄で筋骨隆々の男性が店の二階から転げ落ちて来る。この人がアイナさんのお父様の‥‥‥


「どうも。ご無沙汰しております。ラテおじ様」


「久しぶりです。ラテ亭主‥‥」


「おう。ラテ・カンデラだっ!よろしくな。政庁のお偉いさん」



◇◇◇◇◇


それから、私とリク先生はこの店に来た事情をラテおじ様に離した。


「‥‥‥ユグドラの万能薬の記録だと?」


「えぇ、数日前、上がってきた〖記録〗にありまして」


「それで手記したのがこれです‥‥‥」


「んー?どれどれ‥‥‥下の世界の〖治癒師〗の‥‥‥」


「お茶此処に置いとくよ。パパ‥‥‥じゃあ、私は二階に行ってるから、お話はお好きな様にー!」


アイナさんはそう言うと店の二階へと移動する。


「‥‥‥ハハハ。込み入った話しになると感ずいて、席を外してくれるとはな。俺に似ず、感の鋭い娘に育ちやがって、嬉しいねぇ」


ラテおじ様が私が渡した〖記録書〗を見ながらポツリと呟く。


「どうでしょう?記録書によれば〖ユグドラの万能薬〗はこの店にあったと書いてありますが‥‥‥」


「‥‥‥確かにあった‥‥‥あったがそれは一週間前の話だな。今は此処にはねぇぞ」


「〖ユグドラの万能薬〗が無い?‥‥‥ですか?誰か買ったのか分かりますか?それとどういった経緯で手に入れたのか教えて頂きたい」


「いやいや。誰が買ったなんかお客の個人情報になるから教えられねぇが‥‥‥経緯だけなら話せるな」


「そ、そうですか‥‥‥」


「待ってろ確かに此処に買い取った時の記録書が‥‥‥アーッ!あったあったこれだ。これっ!」


ラテおじ様は店の棚にあった紙の束を取り出し私達の前に広げた。


「珍しい客と珍しい品々だったからな。覚えてたぜ。お客の名前は教えられないが種族だけは書いとかないといけなくてな。その珍しい客って言うのは下の世界からの〖帰還者〗何だがな‥‥‥」


ラテおじ様が見せてくれた記録の紙にはこう書かれていた。


□□□□□


《幻神鳥(ハーピィー)》


買い取り品一覧


〖消えない火枝〗

〖エルフの聖霊石〗

〖星屑の炉〗

〖ナル○ミの雷〗

〖マーリンの白の魔法書〗

〖トリストメギストスの赤の魔法書〗

〖龍脈の欠片〗

〖赤竜の眼〗

〖カンの残滓〗

〖ユグドラの万能薬〗


□□□□□


‥‥‥‥‥最後の記録の中にあった。〖ユグドラの万能薬〗‥‥‥その手記が‥‥‥‥


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