本格派ファンタジー時代劇!!

古き良き時代劇の匂いを醸しつつも、モンスターなどファンタジー要素もふんだんに盛り込んだ、オリジナリティに富んだ世界観。用語や口調の一つ一つに、作者の情熱とこだわりを感じる。細部まで作り込むから、物語に厚みが生まれるのだろう。カスミを中心に、キャラクターの造形に抜かりないのもポイントだ。

地上波で時代劇をやらなくなった昨今、若者を中心に『時代劇』というワードに抵抗を持つ人も増えたように思える。だが、この小説を一度読んでみてほしい。『異世界ファンタジー』の枠組みに分類せざるを得ないのを歯痒く思うのは、たぶん私だけではないだろうから。