第99話 敵を泥沼に引き摺り込んでみよう
四日目の朝。
ローズガーデン陣営の空気はいつになく引き締まっていた。
クラウン・バトルロワイアルも中盤に差し掛かり、各陣営が固まり始めている。勝つか負けるかの瀬戸際で、参加者全員が次の一手に全神経を注いでいた。
そんな中、私は地図を広げて陣営を見渡し、微笑みながら仲間たちを見渡した。
「さて、皆。いよいよ本番の始まりだね」
私の言葉に、ジュリアが尻尾を振りながら笑顔で答える。
「ご主人様、どんな作戦を考えてるの?」
「簡単なことだよ。僕は指揮者であり、観客でもある。つまり、舞台を盛り上げる役割だ。今回は両陣営に同時に手を出してみようと思う」
その言葉に場が一瞬静まり返る。アイリーンが冷静な表情で口を開いた。
「つまり、ブライド皇子とアイス王子、両方に戦争を仕掛けるということですか?」
「その通り。両方を泥沼に引きずり込む。それが今回の作戦だ」
ブライド皇子の陣営は小山を拠点とし、堅固な守備を誇っていた。一方、アイス王子の陣営は湿地帯を利用して防衛を固めている。
「まずはアイス王子の陣営を撹乱しようか。湿地帯は移動が難しいが、その分弱点も多い。レンナ、バクザン、ノクス。君たちに先陣をお願いする」
「任せときな!」
「お任せください、フライの兄貴!」
「はい!」
バクザンが豪快に笑いながら拳を鳴らす。レンナは冷静に翼を広げ、ノクスは無言で剣を構える。
「一方で、ブライド皇子の陣営にはジュリアとフリーダムを派遣する。ラドンを使って山の地形を撹乱してほしい」
ジュリアが尻尾を振り、フリーダムがラドンに飛び乗る。
「へっ、兄貴の期待に応えるぜ!」
私は彼らを送り出しながら、全体の進捗を見守る役割を果たした。
まず、湿地帯での戦闘が激化した。アイス王子の陣営は湿地の特性を利用して防衛を固めていたが、レンナの竜化による圧倒的な力がその均衡を崩す。
「へぇ〜」
だが、そんなレンナの竜化に対抗するように、たくさんの竜化したドラゴンが飛来した。
「アイス王子やるじゃないか」
「フライ・エルトール君、君の狙いはこちらでつぶさせてもらうよ」
アイス王子の声が聞こえてくるようだ。
バクザンとノクスが前線で暴れ回る。バクザンの拳が敵兵を吹き飛ばし、ノクスが冷静に敵を削っていく。
「これがローズガーデンの力だ!」
一方、小山ではジュリアが敏捷な動きで、ブライド皇子の兵を翻弄し、フリーダムのラドンが山の防衛網を破壊していく。
「……我の完璧な防衛陣を見出しにくるか、面白い! エドガー、ゴーレムを出せ。獣人共の機動力で蹂躙せよ!」
ブライド皇子の命令が正常の響く。目の前で、ジュリアが余裕の笑みを浮かべながら叫ぶ。
「フライ様の指示に従えば、どんな戦場でも勝てるのです!!」
両陣営での戦いが熾烈を極める中、私は戦場の中心からその光景を眺めていた。
「泥沼の潰し合い……ね。僕たちが直接勝つ必要はない。重要なのは、両陣営を削り合いに持ち込むことだ」
アイリーンが私の横に立ち、冷静に状況を分析していた。
「フライ様の思惑通りですね。両陣営が互いを削り合い、疲弊しています。最終的にはこちらが優位に立てるでしょう」
「そうだね。ただ、注意しないといけないのは、彼らが手を組む可能性だ。その時はその時で、また新しい遊びを考えればいいだけだけどね」
私は笑いながら、次の手を考え始めた。
その時、運営からの新たな通達が届く。
『全陣営へ告ぐ。本日をもってクラウン・バトルロワイアルは総力戦に移行する。すべての戦力を結集し、生き残りを目指してください。残りの三日間は潰し合いをしていただきます!』
この通達により、すべての陣営が動き始める。
ブライド皇子、アイス王子、そして私たちローズガーデン。それぞれの思惑が交錯する中、戦場はさらなる混沌へと突き進んでいく。
「さぁ、いよいよ本番だね」
私は再び地図を広げ、次の一手を考え始めた。どんな結果が待ち受けているのか、それは誰にも分からない。
ただ一つだけ確かなのは、このゲームを最も楽しんでいるのは私自身だということだ。
「さて、アクアリス・ネプチューナ、君はどう動く。僕は君が望む泥沼の戦場を作り出した。ブライド皇子、アイス王子の戦力は悉く消耗されていくだろう。もちろん、こちらの陣営もね。あとは君のタイミング次第だ」
漁夫の利が可能な戦場を作り出した。
アイス王子は竜人族を仲間に引き入れ、戦力を整えた。
ブライド皇子もロガンを撃破して、戦力アップをしている。
だけど、その両方と戦える人員と戦力をこちらも整えた。
「楽しそうですわね」
「セシリア嬢は、この戦いをどう見る?」
「そうですわね。現状は泥沼化し、多くの英雄が生まれています。これは観客たちにとってとても面白い環境になっているのではないでしょうか?」
「そうかもね。僕も見ていて面白い。大勢の人間が勝利に向かってせめぎ合う。まるで運動会みたいだ」
「運動会?」
「なんでもないよ。さぁ、仕上げと行こうか。残りの戦力のみんな! それぞれの戦場に突撃だ!」
私の指示に従って、ローズガーデンも、平民同盟も、加盟したすべての兵士が戦場へと駆け降りていく。
その光景は圧巻で、拍手を送りたいほど素晴らしい光景だね。
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あとがき
どうも作者のイコです。
今日はここでま!
かなりの難産w
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