第69話 決勝進出者が出揃った

 学園都市で最大の盛り上がりを見せる《グラディエーター・アリーナ》の決勝戦の日がやってきた。


 アリーナは異様な熱気に包まれ、観客たちは開幕を待ちきれない様子だった。


 私もエリザベート、ジュリア、アイリーンと共に、特等席から決勝戦を見守ることにした。それぞれの王族や貴族に与えられた席の一角。


「いやぁ、やっぱり決勝ともなると雰囲気が違うね。この熱気、観客の声援、もう本当にすごいよ」


 私は席に座りながら、興奮気味に周囲を見渡す。エリザベートは扇を片手に、優雅に笑いながら頷いた。


「当然ですわ。これまで勝ち上がってきた者たちの頂点が競い合う場ですもの。注目を浴びるのも無理はありませんわ」

「フライ様、誰が優勝すると思いますか?」


 ジュリアが興味津々に聞いてくる。私は肩をすくめた。


「うーん、まだ何とも言えないけど、どの選手もそれぞれ強い個性があるからね。誰が勝つにしても面白い試合になるだろうね」

「私は少し裏を調べたけど、どの選手も実力派揃いよ。それに少しだけ怪しい空気も感じるのよね」


 アイリーンが意味深な笑みを浮かべながら言った。


 アリーナの中央に設置された巨大なスクリーンが点灯し、観客たちの歓声が一段と高まった。いよいよ、決勝戦の幕が上がる。


 スクリーンに映し出されたのは、実況を務める少女、ジョウ・キョウだ。


「さぁ、お待たせしました! いよいよ《グラディエーター・アリーナ》決勝戦の開幕です! みんなが大好き実況ちゃんですよ〜」


 彼女の元気な声がアリーナ全体に響き渡る。


「決勝戦に進出したのは、予選を勝ち抜いた8人の猛者たち! それでは、早速選手たちを紹介しましょう!」


 実況ちゃんの声に合わせて、次々と選手たちがスクリーンに映し出される。そのたびに観客席から大きな歓声が上がった。


 決勝進出者の紹介

 


「一人目は、最速で勝ち上がってこられました獣人王国の獅子王ロガン・ゴルドフェング選手。獣人王国の王子で、圧倒的な筋力と闘志を誇る。金色のたてがみを揺らしながら、堂々とアリーナに立つその姿は、まさに王者の風格です!」

「ロガン様ー! がんばれー!」


 観客席からは、ひときわ大きな声援が飛ぶ。一年次にして、優勝候補筆頭は伊達ではないね。

 

「二人目は《蒼炎の魔剣士》セリーナ・シルヴァ選手。精霊族の優雅な戦士で、魔法と剣術を融合させた独自の戦闘スタイルが特徴です。その美しい水色の髪と薄い羽が、どこか神秘的な雰囲気を醸し出しています」

「美しいぞ〜セリーナ様〜」


 野太い男の声援と綺麗な精霊族の戦士は、見ていて面白いね。

 


「三人目は《難攻不落』ガルバ・ストーンブレイカー選手。ドワーフ族の戦士で、力強い肉体によって纏われた防具は防御力と力強い一撃が魅力です。見るからに頑丈な体格に纏われた防具は自前で作成されたそうです」


 さすがは、ドワーフと言った感じだね。本当に学生かと思うほどヒゲが凄い。


「四人目はこちらも一年生ダークホース《無名の剣士》ノクス選手。無名ながら、三連勝を果たした剣士であり、一気に注目を浴びた平民出身の選手です。その素早い動きと冷静な戦術で、強敵を次々と撃破してきたぞ〜」


 観客の反応は薄いが、四番目に呼ばれる成績を残している。


「五人目は《鉄の竜槍》ドラガ・ヴォルケン選手。竜人族の戦士で、剛槍を自在に操る豪快な戦闘スタイルが持ち味。圧倒的な体格と筋力で観客を魅了です」


 竜人族ではあるが、赤龍族とはまた違う種族なので、知らないと言っていた。


「六人目は《氷壁の魔術師》エリオット・フロスト選手。氷属性の魔法を極めた人間族の魔術師で、戦略的な戦い方が特等です。相手を封じ込める技が注目されています」


「七人目は《疾風の双剣士》レイナ選手、風属性の魔法を駆使した魔法剣士であり、また双剣の軽技を使う女性は男性をファンが多いぞ!!! その軽やかな動きと鋭い斬撃で観客を魅了してきた」


「八人目は《雷鳴の豪拳》バクザン選手。鬼人族の若き戦士で、豪快な拳闘スタイルが特徴。彼の一撃は雷鳴のような威力を持つ」


 えっと、バクザン君。君も出てたんだね。これは一波乱ありそうな予感がするね


 実況ちゃんの紹介が終わると、アリーナはさらに熱気を帯びた。観客たちはそれぞれの応援する選手に向けて声を張り上げている。


「いやぁ、どの選手も強そうだね。こうなると、誰が勝つか本当に分からないな」


 私は興奮を抑えきれずに呟いた。エリザベートも目を輝かせている。


「本当にそうですわ。どの試合も見応えがありそうですもの」


 ジュリアは少し緊張した様子で手を握りしめている。


「ご主人様、やっぱりロガン選手が勝つのでしょうか?」

「うーん、そればっかりは分からないけど、どの選手も全力で戦うだろうから、見守るしかないね。僕はバクザン選手も面白いと思うよ」


 アイリーンは微笑みながら、モニターを見つめていた。


「どんな戦いになるのかしらね。でも、フライ様が楽しんでくれるなら、私もそれで満足です」


「さぁ、いよいよ決勝戦が始まります! 選手たちの熱い戦いを見逃すな!」


 実況ちゃんの声が高らかに響き渡り、アリーナ全体が歓声に包まれる中、私は仲間たちと共に、決勝戦の幕開けを見届けた。


 これからどんなドラマが繰り広げられるのか、期待と興奮で胸が高鳴る。決勝戦は間違いなく、グラディエーター・アリーナ最大の見どころとなるだろう。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あとがき


 どうも作者のイコです。


 今日はここまで!


 良い週末を!

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