第37話 ゴーレム完成
二日間のゴーレム制作で私が考えた物が出来上がりました。
従来のゴーレムは、ストーンゴーレムなら、石を積み重ねてそれを魔力で繋ぎ合わせ、人型に維持させていた。
それがゴーレムの作り方だと言われればその通りではあるが、せっかく素材があり、繋ぎ合わせるなら、繋ぎ合わせる素材同士の形を変えてから繋ぎ合わせれば良いんじゃないかと思ったわけだ。
私が考えるゴーレムは、関節が存在して魔力効率がよく、それでいて攻撃も守備も従実しているゴーレムですよね。
ですが、素材は三つ、石、鉄、木です。
一つ一つではどうしても、上手くいかない。
なら、三つを合成してそれぞれのパーツ事にしてはどうか? ですが、それでは魔力伝達が上手くいかなくなり、操作が難しいだけでなく、魔力消費も激しくなるので、現実的には難しいという結論に至った。
ここまでは誰もが考えたことであり、実際に幾度となく挑戦もされてきた。
それはそうだろう。ロボは男のロマンなのだ。
だが、幼い頃から、魔力量を増やし続け、属性魔法を持たないことで無属性として、研究を続けてきた私ならばどうだろうか? 発想を変えてみよう。
ゴーレムは素材に魔力を流し込み、素材同士を繋ぎ合わせることで、ゴーレムという形を作る。
だが、そもそも素材を最初から繋ぎ合わせた状態で、一つの塊としたならどうだろうか? サンドゴーレムやアースゴーレム、アイスゴーレムなどの自然由来のゴーレムたちはまさしく一つの塊として存在する。
彼らに繋ぎ目は存在しない。もちろん、人が一からそれを作るのは難しい。
自然発生した魔力の塊と自然界に存在する材料が合わさって生み出されているからだ。
そろそろ難しい前置きはいいだろう。
「チョコ、どうだ?」
「とても面白いと思います!」
ドワーフのチョコに作ってもらったのは、それぞれのパーツをお願いした。
ボディーは、ストーンゴーレムを使うことにした、しっかりとした頑丈さが欲しかったのと魔力の通りを良くする中心になるからだ。
そして、肩、肘、腰、股、膝、の関節部分を鉄で作ってもらって、綺麗な球体に仕上げてもらう。
最後にそれらを木製で腕や足を繋ぎ合わせた。
「これはなんて表現したらいいのかしら?」
完成した合成ゴーレムキメラを見て、エリザベートはなんとも言えない顔をしていた。
「これは動くんですの?」
「もちろんだよ。確かにこいつを使う際に魔力を流してはいない。だから、普通のゴーレムとは違うかもしれない」
「そうですわね。見た目は完全に別物に見えますわ」
「まぁ、完成したから、あとは本番だね」
「いよいよ明日ですわね」
「うん。楽しみだな」
「楽しみ?」
私はエドガーとの因縁よりも、ゴーレムを動かして戦うことの方が楽しみになってしまった。
♢
雲ひとつない晴天が、今日の決闘を見守ってくれているようですね。
「よく逃げずにやってきたな。フライ・エルトール」
「むしろ、楽しみで楽しみで仕方なかったよ。エドガー・ヴァンデルガスト」
互いにゴーレムは隠したまま布がかけられている。
「両者が揃ったので、ジャッジを務めさせてもらう、アイス・ディフェ・ミルディよりルールの確認と、決着方法の説明をさせてもらう。使用するゴーレムは互いに一体。学園に申請を出して不正がないと判断されたゴーレムを使用すること。その際に、ゴーレムの素材は、石、鉄、木は使用を認められているが、ミスリルや高品質の素材や魔導具を使うことは禁止とする」
アイス王子がルールの説明をしてくれている間も、エドガーはこちらを見ながら勝ち誇った顔を崩さない。
どうやら相当に自信があるようだ。
「勝敗は、どちらかのゴーレムが破壊されるか、術者の魔力切れによる戦闘不能が認められた際に決着とする。これらの判断を私が行う。よろしいか?」
「異論はない」
「僕も大丈夫です」
アイス王子がルールと決着方法を決めてくれたことで、戦いの準備は全て整った。
セシリア嬢、エリザベートが見守る中で、意外にも観客席に、ブライド皇子が座っていた。アイクの奴も私のことを睨みつけています。
「それでは最後に決闘の敗者は謝罪をしてもらいます。エドガー・ヴァンデルガスト君が勝利した際には、フライ・エルトール君が公の場で、エドガー君へ暴行を加えたことを謝罪して自分の非礼を詫びてもらいます」
「フライ・エルトール、私のプライドをのために恥をかいてもらうぞ」
すでに勝つ気でいるエドガーにイラッとしますね。
「そして、フライ・エルトール軍が勝った際には、エドガー・ヴァンデルガスト君はセシリア・ローズ・アーリントン嬢及び、エリザベート・ユーハイム嬢に対して、己が女性たちに失礼な態度と行動をしたことを謝罪してもらう」
「くっ?!」
未だに納得していない顔をしているエドガーにやっとわからせる時がきたね。
「私からは以上だ。二人は互いに何かあるか?」
「ならば私から、フライ・エルトールよ。貴様は学園にほとんど来ておらんからしらんだろうが、貴様の行動によって私の誇りは失墜した」
(失墜する程度の誇りなら、元々無いだろ)
「何か言ったかね?」
「いや、ヴァンデルガスト。君の誇りなど、クソの役にも立たないから、失墜したなら最高の報告だよ」
「なっ?! 貴様!?」
「頭が良くて、女性相手にはいくらでも傲慢な君のことだ。煽られたことはないのかい? そんな調子で、本当に僕に勝てるのか心配で夜しか眠れないよ」
「寝れているではないか?!」
エドガーは顔を真っ赤にして、怒り狂ってきます。正直、それは見ていて愉快ではありますが、舌戦をしにきたわけじゃないので、始めましょう。
「そろそろ始めようか、観客たちもあきれているよ」
「誰のせいだと思っている?!」
互いに魔力を操作する位置へと移動して、訓練所にゴーレムが運び込まれる。
布が取り払われて、互いのゴーレムが明らかになった。
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あとがき
どうも作者のイコです。
今日はここまで!
それでは!
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