あのようによく出来た彼女だから、この半年のうちに彼氏となる男が現れたのかもしれない。

 いや、実は前回僕がプレゼントを渡したときには相手がいたから、淡白な礼しか彼女は口にしなかったのだと思えてくる。


 僕はよくない癖で、多忙さ等にかまけて行動に出ないでいるあいだにも、他にも思い当たる節があるとして、不都合なことをいろいろと想像を豊かにしてしまう。

 しかも、そのどれかが絶対正解だという変な自信だけが湧いてきたりする。



 仕事上がりにスマホをチェックすると、社内同期のグループLINEに書き込みがあった。


 ハルミの書き込みだった。


『皆さん、お世話になり、ありがとうございました。

 今日が私の最後の出勤日でした。

 皆さんの今後のご活躍をお祈りします。』


 そのすぐあとに彼女がグループ退出の記録が残されていた。


 おそらく転職ということなのだろう。

 まるで知らされていなかった。

 時間の経過を思い知る。

 僕が僕なりに真摯に過ごしていても、それと関係なく世界は常に動き変わっていくのだ。


 そういう扱いがあって、今日が彼女にとってそういう日であるなら、もはや僕のことなんか頭にあるわけがない。

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