第3話 キャバリア
「アクティブレーダー、オン」
音声入力でアクティブレーダーを使用する。アクティブなら砂埃とかは関係ない。こちらの位置を知らせることにもなりかねないけど。
手足は手足を動かすことに使うので、それ以外の操作の多くは音声だ。
なんかバグってるのか? 声の調子が悪いようだ。俺が調整した声色ではなくもっとずっと甲高い声に聞こえる。……違和感はこれか? まあ操作やプレイに影響ないからいいけど。
だいたいの位置を確認できた。人間みたいな形で少し大きいものが俺の周囲に六体。離れた場所に三体の集団に、七体の集団だ。そのうち三体の集団のみ反応が若干違い、人間であると判断した。
『データをダウンロードしました。形状から三体は人類が使用するキャバリア、我々が踏み潰したものと周囲にいる他のものはウッドマンと推測します。ウッドマンは人類の敵です』
「付近のウッドマンをロックだ。キャバリアを守る」
どこから何をダウンロードしたのか知らないけど、状況から見るに運営がコラボ先のデータをAIに入れてくれたのだろう。ならばこのミッションは、おそらくキャバリアを守って、ウッドマンを撃滅すればいいのだろう。そう考えた。
一体、落下時のクッションになってくれたみたいで、それはもう絶命しているようだし、倒せる相手だということだ。事前に火力が高めの方がいいと言われていたので、ジェネレータ直結のレーザーライフルを装備してきている。地上、大気圏内ではあまり有効ではないとされているが、威力を分かりやすく上げやすい武器種だし、即着弾なので当てやすい。
初期配置で囲まれていたが、キャバリア方面へホバー移動で滑っていきつつ、レーザーライフルでウッドマン2体を撃破した。
「なんだ。ちょっとこいつじゃ大げさすぎたか?」
思ったより敵の防御が弱く感じた。いくらジェネレータ直結で威力を上げているレーザーライフルといえど、地上での運用でさらに今は砂埃が巻き上がっている状況なのでかなり威力が下がっているはずなのに一撃で倒せたから。これならいけそうだ。
「目標ウッドマン、ミサイルランチ、四マルチ、ファイア」
両肩にマウントしている小型ミサイルポッドからミサイルが四発、付近のそれぞれ別のウッドマンに放たれた。ウッドマンは回避しようとしたが遅い。牽制用なので小型のそれほど威力はないミサイルだったのだが、四体をほぼ同時に撃破できた。
「たいしたことないじゃん」
そう言いつつ、ここの運営、そんなに甘くなかったよなと思い直し、警戒を続ける。
キャバリア三体の前に辿り着き、振り返る。パッと見たところ、フルアーマーの騎士のようだ。一体だけ赤く若干華奢でもう二体は鈍い銀色でごつい。
『残存敵勢力、攻撃』
「スクリーンバリア展開」
視界の端に寄っていたロックした敵が点滅した。攻撃してきた合図だ。近接攻撃ならもちろんほぼ同時に攻撃を食らうが、遠距離なら時間差がある。魔法だから即着弾、というわけでもないようだ。
パーソナルフォートレスの正面にほぼ透明の防御障壁を展開した。そしてその障壁がいくつも弾けるように波打ったが、全て防御しきれたようだ。貫通してきたものはない。
「攻撃種は?」
『爆発系で魔力と思われるものです。当方のバリアで防ぐことは可能です』
魔力かー、ファンタジーだな。けどバリアを透過できなかったということは投射型なのだろう。それならパーソナルフォートレスが直撃を受けてもある程度は防げるということだな。
ちらっと後方カメラを見たけど、キャバリアたちは立ち直り始めているようだ。こちらからは何もしなくて良さそうだ。
なんか話しかけられた気がするけど、何言っているのか分からない。
『双方向自動翻訳できます。今後そうされますか?』
「オーケー、じゃあ頼む」
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