裂かれた絆<1>
−−翌朝
正樹は7時過ぎに目を覚ました。朝のルーチンで顔を洗うと、昨夜届いたバナナを使ってバナナ・スムージーを作ってリビングにある仕事部屋へと入った。その部屋には高性能なデスクトップパソコンとデュアルモニターがセットアップされていて、彼の「職場」として機能している。
正樹がPCの電源を入れると、モニターには先日から進めていたプロジェクトの開発環境が立ち上がった。JavaScriptをメインとしたバックエンドの新機能を実装するタスクが今日のメインだ。
「まずはAPIの挙動調査と調整案の作成から始めるか・・・」
彼は深呼吸して、指をキーボードに置いた。画面には、昨日作業を中断した箇所がそのまま残っている。テスト用のエンドポイントを確認する為に、デバッグコードがいくつか挿入されていた。
「よし、まずはレスポンスの確認だな」
彼はAPIリクエストを送るスクリプトをターミナルで実行し、返ってきたデータを注意深く観察した。返却されたJSONをスクロールしながら、データ構造に違和感がないか確認する。
手元のキーボードからはリズムよくタイピング音が響く。ターミナル上に次々と表示される結果を見つめながら、彼は小さくうなづいた。
「とりあえず、ここまでは問題なさそうだな」
数時間集中して作業を進めた後、時計を見るともうすぐ昼前だ。13時からオンライン会議が始まるんだよな。正樹は仕事部屋を離れてキッチンへ向かう。冷蔵庫の中から冷凍パスタを取り出し、電子レンジで温める。
電子レンジの音が鳴り、パスタが温まった事を知らせた。正樹はパスタを食べながら次回の挑戦に向けた作戦を再構築し始めた。彼の頭の中には次の階層で起こり得る状況や、それぞれの役割分担が思い描かれていた。
「全員が一つになれば、この『絶界の頂』だって突破できる・・・その為に俺ができる事を考えないと」
食後には軽くコーヒーを淹れ、窓から差し込む光を感じながらしばしリラックスした。夜には「全日本バナナ・イーターズ」の挑戦が待っている。正樹はコーヒーを飲みながら仕事部屋の明かりを少しだけ暗くした。
「絶界の頂」の中層階への挑戦は続く。
[ソフィア]「あ、あそこ。ギミックが隠れてる」
ソフィアは正樹の指示を無視して、敵陣の奥深くへ単独で突っ込んだ。彼女はその場で見つけたギミックを即座に操作し、強力なトラップを発動させたが、それはチーム全体の計画にない行動だった。
[ヒロ]「おい、ソフィア!勝手に動くなって言っただろ!」
[ルナ]「待って、ソフィアが発動したせいで敵を引き寄せてる!これ、対応できるの?!」
正樹も混乱を抑えながら叫ぶ。
[自分]「ソフィア、何をやってるんだ?!全員で連携して動くって言っただろ!」
しかし、ソフィアは冷静な声で応じた。
[ソフィア]「このトラップを利用すれば全員が被るデバフを解除できる。これが最善の選択だった」
ギルド内には混乱が広がっていたが、ソフィアの言葉には確信があった。正樹は状況を素早く判断し、彼女の行動の意図を読み取ろうとした。
[自分]「全員、一旦敵を引きつけろ!ソフィアの言葉が正しいかどうか、この場で確かめるしかない!」
[ヒロ]「くそっ、マサがそう言うならやるけど、次こんな事があったら本当に許さねえぞ!」
[ルナ]「分かった。回復の準備はしておく。皆、ダメージを受けたらすぐ教えて!」
[ヒューゴ]「俺も敵を引き寄せて、トラップの影響範囲に誘導する!」
ソフィアが起動したギミックによるトラップは、敵の動きを一瞬で封じ込めた。さらに、デバフが全員から取り除かれると同時に、敵の攻撃力が一時的に大幅に低下する効果が発生した。
[ルナ]「本当にデバフが消えた・・・!ソフィア、これって!」
[ソフィア]「このトラップを使うタイミングが必要だった。敵が集まるのも計算のうち」
敵が弱体化した事でギルド全員の攻撃が有効に通るようになり、形勢が一気に逆転した。
[ヒロ]「おいおい・・・これ、めちゃくちゃ有効じゃねえか!」
[ヒューゴ]「敵がほとんど無力化してるぞ。これは大きい!」
正樹は冷静に状況を見つめながら、ソフィアの行動に対する評価を下すタイミングを考えた。
[自分]「全員、このまま敵を一掃する!ソフィアがトラップを活かした以上、ここで全力を出せ!」
数分後、ギルドは敵を完全に殲滅し、エリアを安全な状態に戻した。だが、戦闘後の静寂が訪れると、再びソフィアの独断行動について意見が割れた。
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