01-23.未知の世界へ

 夜空には無数の星がまばたいていた。足を止め、荒野に立ち尽くした。背後の混乱から解放されても、彼女の胸には言いようのない空虚感くうきょかんが広がっていた。


「ここが……自由……?」


 その言葉には、疑問と不安が混ざっていた。研究所を出たことで彼女は自由をたはずだ。しかし、自由とは何か、彼女にはまだ理解できなかった。


 冷たい風が彼女の翼をでる。その感覚は、自分が生きていることを否応いやおうなく思い出させるものだった。


 彼女は振り返らずに、暗い荒野の中へと歩みを進めた。遠くに見えるかすかな明かりを目指しながら、自分が何者なのか、どこへ向かうべきなのかを探る旅が始まった。

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