01-18.脱出の夜

 その夜、研究所の空気はどこか異様だった。いつもは機械の駆動音や研究員たちの足音が響く無機質な空間が、妙に静まり返っていた。彼女は鉄製のコンテナの中で目を閉じ、静けさの中にかすかに混じるざわめきを感じていた。


「……何か、起きている?」


 コンテナの狭い空間の中で、彼女は耳を澄ませた。どこからか聞こえる遠い音――それは低くくぐもった振動のようなもので、普段の研究所の音とは明らかに異なっていた。


 突然、床がわずかに揺れた。


「……何?」


 次の瞬間、爆発音が響き渡った。それは空間を揺るがすほどの衝撃で、彼女は身を縮めた。コンテナの中で、金属が不気味な音を立ててきしむ。


 外からは人々の叫び声や走り回る足音が聞こえた。

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