01-16.存在を否定される重さ

 研究員たちが部屋を出て行った後、彼女は機械の拘束具の中でただじっとしていた。背中の翼は動く力を失い、体は冷たい金属に押し付けられたまま動けない。


「私は……ただ生きているだけじゃ、ダメなの?」


 その問いの答えを知る者は、この研究所には誰一人としていなかった。彼女の目から涙が流れることはなかった。ただ、胸の奥に広がるむなしさと、世界から完全に切り離された感覚が彼女を支配していた。


 その後、彼女は廃棄はいき予定として冷たいコンテナに入れられ、暗闇の中で再び孤独に戻った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る