異世界で最強の竜に転生したので自由気ままに過ごします!
うにぃぃ
第1章 竜と少年
第1話 覚醒
目が覚めたらそこは真っ暗だった。
物がよく見えないなんてものじゃない。視界から得られる情報が一切ないほどにまったく何も見えないのだ。
とりあえず現状を確認するため体を動かそうと試みるが、妙に動かしづらい。自分の体ではないような違和感がある。
それになにやら狭いところに閉じ込められているようだ。ちょうど俺の体を覆うように球形であるが……一体ここはどこだ?
俺は現代日本に生きるただの大学生だったはずだ。適度に授業に出席して、程よくサボり、特に何の目標も持たずにその日を過ごす、そんな生活を送っていた。
こんな真っ暗で狭い場所に閉じ込められるような覚えはまったくない。こんなにもか弱い一般市民である俺を一体どうするつもりなのか…
とりあえず声を出してみるか?
(誰か!聞こえますか!助けてください!)
「グゥォォォ」
は?
何故か喋れない。何か喋ろうとしてみるとくぐもったうめき声のような物が出るだけだ。
いやいやいや!?流石に何かがおかしい。
俺はどこかのやばい施設で人体実験でも受けさせられて、とんでもない化け物にでもされてしまったのか?
(あの〜、まじで俺なんかしました?)
「グルゥウゥゥゥ」
うん分かった。
これ悪い夢だ。じゃなきゃ流石におかしすぎる。
さっきからあまりにも俺の許容範囲外のことが起きすぎている。
多分今はつまらない講義でうっかり寝てしまい、夢を見ているんだ。まあ夢にしては感覚がリアルすぎるのだが…
体も動かしづらいし、何も見えないし、言葉も喋れないし危機感はあるものの現状何ができるというわけでもなさそうなので、とりあえず少し時間を置いてみるか…
◇◇◇
あれからどれくらいの時間が経ったのだろうか。
目の前の壁をゲシゲシ引っ掻いてみたり、自分の体をサスサスしてみたり、発声練習でグルルルしてみたり、普通に眠いのでスヤスヤしてみたりと色々やってみたが、現状特に何も解決していない。
もうできることもないし、何でもいいからこの状態から早く解放してくれ、そう思いながら目の前の壁?を叩いてみたら…
ピシリ
真っ暗で何も見えなかった視界に突如うっすらと明るい亀裂が走ったのだ。
状況を理解するのに数秒を要したが…
(うおおおおおお!!!!)
俺は一心不乱に目の前の亀裂をさらに広げるためにありとあらゆる衝撃を加えていった。
ようやくこの状況から解放される、その思いが原動力になり疲れも無視してがむしゃらに動き続けた。
そしてそのときは来た…
ピシピシピシ パリーン
まるで卵の殻が割れるように俺を閉じ込めていたものが割れて、視界に光が一気に流れ込む。
そう。卵だったのだ。
俺の周囲には砕け散った卵の殻が散乱していた。
さらに周囲に視線を向けるとそこはいつもの見慣れた講義室ではなく、多種多様の花々が咲き乱れているどこか現実離れした美しい森の中であった。
俺のいる場所を中心として少しひらけており、まるで森が俺のことを守っているかのように見えた。
そして肝心の俺なのだが…
視線を自分の体に向けると、まるで全身が禍々しい鎧に覆われているかのように刺々しい。爪も鋭く人間なんて簡単にバラバラに出来そうだ。
背中にはちっちゃい羽がある。飛べないがパタパタすることができる。パタパタ。楽しい。
それにこれまた刺々した尻尾が尻の上の辺りから生えていた。プラプラ。これもまあまあ楽しい。
さて現実逃避はこの辺にしておこう。
ここまでくれば目の前の光景が夢でないことは十分理解できる。感覚があまりにもリアルすぎるし、そろそろ受け入れよう。
それにしても卵から出てきたのだから俺はたった今生まれたところなのだろう。意識があまりにもはっきりしすぎているのが気になるところだが…
俺は目の前に散らばっている卵の殻の破片を拾い上げる。うっすらと周囲の景色を反射しているのだから自分の顔を確認する鏡くらいにはなるだろう。
俺は自分の顔の前に破片を持ってくる。そこには自分の体のように刺々した鎧のような深緑色の鱗に覆われたトカゲのような顔があった。
なるほどなぁ…
納得できるかどうかはさておき受け入れるしかあるまい。この姿はどこからどう見てもアレにしか見えない。
俺は父親の影響もあってRPGが結構好きで有名どころの作品もそこそこやってきた。
大体のRPG作品にはよく登場する定番のモンスターがいる。スライムとかゴブリンとかオークとか。
今の俺の姿はそんなRPGにおいても定番中の定番。例えゲームをやらない人であってもこの姿を見れば皆口を揃えてその名を言うだろう。
俺はドラゴンになってしまったようだ。
いやなんで!?
――――――――――――
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