第十三章:もう一度自分へ
数日が経ち、晴翔は日常に戻り始めた。クラムスと共に過ごす中で、自分を見つめ直していた。
学校では以前のように勉強や部活動で成功を収めていたが、かつてのような傲慢さはなかった。彼は仲間を大切にし、物事に向き合うようになっていた。
晴翔が向き合わなければならないもう一つの課題。
それは、由香だ。
放課後、彼は図書室の隅で一人で本を読んでいる由香を見つけ声をかけた。
「由香…」
由香は彼を見上げ、少し躊躇いながらも本を閉じた。
「…何?」
晴翔は深呼吸をし、素直な気持ちを伝えた。
「ごめん、由香。俺、あの時の自分を思い出すと、本当に恥ずかしいし、後悔してる。」
「みんなに注目されて、何でも自分の思い通りになるって思ってしまった。」
「もう一度、由香とやり直したい。」
由香はしばらく黙っていたが、目を合わさずに、言葉を選ぶように答えた。
「晴翔くん、前より少し大人になった気がするよ。でも、まだ自分の気持ちがわからないの。もう少し時間をくれないかな………」
その言葉に、晴翔は頷いた。
「もちろん。ゆっくり考えて…」
晴翔には少し悲しい気持ちがあった。
「お前、青春してるなぁ」クラムスはすこし微笑みながら言った。
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