第二章:解放
翌日、ハッと目を覚ました。
「夢か…変な夢だった…」
後味の悪い目覚めだった。
ふと晴翔は横を見ると驚きの声を上げた。
「うわっ!」
クラムスは気にする事なく話し始めた。
「茶番はもういいか?そろそろ学校行こう。気が散らないように、俺はお前の死角から学校生活を見せてもらうよ。」
「見せてもらうって、いつも見てるんだろ?」
「そうだけどな。ほら、行くぞ。」
クラムスは右肩に乗ったと思うと視界からは消えた。
違和感を感じながら、いつもの学校生活をこなした。
帰宅するとクラムスがスッと現れた。
「早速始めようか」
晴翔は教科書を開き勉強を始めた。クラムスのアドバイスで内容がみるみる頭に入っていく。
「公式を覚えるんじゃなく、問題を頭の中で映像化しろ。問題がどんな形をしてるのかを感じろ。」
「知識はいくら身につけても点の記憶でしかない。知恵を身につけろ。知恵を一つ身につけると光の速度で知識がつながり、また大きな知恵となるんだ。これを繰り返せ。連鎖反応が起きるまで。」
「人間の理論や常識は捨てろ。理論的に考えるな。それは、お前の可能性を制限している。感情を解放しろ。感情でしか人は動けない。」
クラムスの言葉は今までの常識を超えるような内容だった。
苦手だった数学の問題を見た瞬間、頭の中でストーリーのようにイメージされ、簡単に解けるようになった。
テストでは、これまで見たことがない高得点を記録した。教師もクラスメイトも驚いたが、それ以上に晴翔自身が驚いた。
「すごいな、本当にクラムスのおかげだ。」
晴翔は感謝を伝えた。
「ちょっとお前の力を整えただけだ。」
体育の授業では、苦手だったバスケットボールで驚異的なプレーを連発した。次第に、周囲の視線が変わっていくのを感じた。
「晴翔、なんか最近すごくね?」
クラスの誰もが彼を褒め称えた。そして、その中には彼が密かに思いを寄せていたクラスメイト、間野 由香(まの ゆか)の姿もあった。
「晴翔くん、なんだか最近変わったね。」由香の柔らかな声で話かけられた。晴翔は心臓が跳ねるのを感じた。
「え、そうかな?」
「うん。なんていうか……素敵だと思うよ。」
晴翔は心躍った。
そして同時に、心の中でこう思った。
「本当に変われるんだ。」
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