第一章:クラムス
「守護神?」
晴翔は呆然とした表情で小さな存在を見下ろしていた。
部屋の薄暗がりの中、クラムスと名乗るその小人の体は淡い水色の輝きを放っている。神秘的な姿に、晴翔は目を奪われた。
「そうだ。」
クラムスはふわりと宙に浮かび、晴翔の目の前まで近づいてきた。まるで親友に話しかけるような気軽さで言葉を続ける。
「お前がこれまで平穏無事に過ごせたのも、俺が見守ってたおかげってわけだ。感謝してくれよ。」
晴翔は信じられない気持ちでクラムスを見つめた。これは夢だ、と思った。きっと疲れてるからだ。
「お前、青い花に水やってたよな。一日何回も。あれな、ちょっと多すぎだぞ。」
ただ自分の癒しのためだけに続けていた習慣。一度も水をやりすぎてるなんて思ったこともなかった。どうやらクラムスは日常の様子を全て見ていたようだ。
「…本当に、君は俺の守護神なの?」
「信じるかどうかは勝手だが、俺がここにいる理由は他にない。」クラムスは続けて言った。
「お前には伸びしろがある。俺が手を貸せば、もっとすごい奴になれる。」
「すごい奴……?」
晴翔は思わず聞き返した。
「そうだ。勉強だろうがスポーツだろうが、俺がアドバイスすればな。」
晴翔の心の奥で、その言葉を信じたい気持ちが芽生えてきていた。
目の前に見えるクラムス。これは現実だ。言っていることも本当かもしれない。
「……やってみたい。自分を変えたいんだ。」
クラムスは笑みを浮かべた。
「明後日の数学テストから始めてみよう。」
その後、なぜか意識を失うようにベッドで寝てしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます