【カクヨムコン参加】君のための魔王になりたい
肥前ロンズ
Hello, World!
ミミックに転生したんですが
はじまり、はじまり
広い洞窟の中で、俺が鳴らす音が響く。
何度繰り返したことだろう。
こうやって通りすがる人、通りすがる人に、ひたすら音を鳴らし続けた。
だが、ほとんどの人は……って言っても、ここにたどり着く人なんてほとんどいないけど。まあいい。
ほとんどの人は、俺の存在に気づいても、無視して通り過ぎて行くだけ。
だけど、その人だけは違った。
フードを被った少女は、俺の前に立ち、俺を見下ろしている。
初めて、俺の前で足を止めた異世界人。
ベージュ色のフードの下からは、黒い髪が零れていて、青い瞳は洞窟の壁に生える水晶のようだった。
彼女は真面目な顔で俺を見つめ、そして呟いた。
「Hello……?」
耳なんてないのに、鼓膜が震えたような気がした。
いや――震えたのは、身体の全てかもしれない。
その人は、俺がひたすら送っていたメッセージを口にした。
こうして俺は、異世界に転生して初めて、誰かと話すことができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます